2015年12月27日

2015年12月27日号



【ニュース・ヘッドライン】


  • エグゼリキシス、腎細胞腫用薬を承認申請 
  • サノフィ、リキスミアとランタスのプリミックスを承認申請 
  • アストラゼネカ、痛風薬が米国で承認 
  • アクテリオン、肺動脈高血圧症治療薬が承認 


*** 新年は1月10日スタートの予定です。今年は読んで頂きありがとうございました。来年も宜しくお願いします。 ***


【承認申請】


エグゼリキシス、腎細胞腫用薬を承認申請
(2015年12月23日発表)

エグゼリキシス(Nasdaq:EXEL)はCometriq(cabozantinib)の米国における適応拡大申請を完了したと発表した。末期腎細胞腫の二次治療に用いるもので、臨床試験ではPFS(無進行生存期間)がメジアン7.4ヶ月とノバルティスのAfinitor(everolimus)を投与した群の3.8ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.58、統計的に有意だった。全生存のハザードレシオは0.67、p=0.005だったが中間解析(閾値は0.0019)なので未だ有意差は出ていない。

CometriqはVEGFR2やmet、ret、kitなどを阻害する小分子薬で、末期・転移性切除不能甲状腺髄用癌用薬として米国で12年、EUでも14年に承認された。対象患者は少ないが、VEGFR阻害剤は既に様々な薬が様々な用途に承認されているので、Cometriqも適応拡大の余地が大きい。前立腺癌の第三相はフェールしたが、今回の腎細胞腫はVEGFR阻害剤の典型的な用途なので成功しても驚きはない。

リンク: エグゼリキシスのプレスリリース

サノフィ、リキスミアとランタスのプリミックスを承認申請
(2015年12月23日発表)

サノフィはGLP-1作用剤Lyxumia(lixisenatide、和名リキスミア)と管理放出性インスリンLantus(insulin glargine、和名ランタス)の合剤を米国で承認申請した。

LyxumiaはデンマークのZealand Pharmaからライセンスした一日一回皮注型製品。Lantusは一日一回皮注型インスリンのベストセラーで、特許切れを前に高濃度製剤が商品化されたが今回のプリミックスはLantusと同じ100単位/mL。

同様な合剤では、ノボ ノルディスクがXultophy(liraglutide、insulin degludec)を欧州で今年発売、米国でも9月に承認申請した。3ヶ月ビハインドだが、サノフィはRetrophinから2.45億ドルで買収した優先審査バウチャーを利用する考え。

サノフィはリジェネロンと共同開発した抗PCSK9抗体のPraluent(alirocumab)を承認申請した時もバイオマリン社から0.67億ドルで買収した優先審査バウチャーを使用、承認申請はアムジェンのRepatha(evolocumab)のほうが早かったが承認は先んじた。

余談になるが、RetrophinやTuring Pharmaceuticalsの創立者でCEOだったMartin ShkreliがFBIに証券詐欺の疑いで逮捕された。ヘッジファンド・マネージャー出身の変わり種で、Retrophinでは新薬の販売ではなく優先審査バウチャーを取得・転売することで大きな利益を上げ、Turingでは特許が失効した後も一社しか販売していない薬の権利を取得し価格を56倍に引き上げることで荒稼ぎをするなど、色々な点で注目されていた人物だ。

嫌疑内容は値上げ事件とは無関係のようだが、危ない橋を何度も渡りすぎたのだろう。

リンク: サノフィのプレスリリース

【承認】


アストラゼネカ、痛風薬が米国で承認
(2015年12月22日発表)

FDAはアストラゼネカのZurampic(lesinurad)を高尿酸血症の治療薬として承認した。選択的URAT1阻害剤で、腎臓近位管トランスポータであるURAT1を阻害して尿酸の排泄を促進する。allopurinolやfebuxostatのようなキサンチン酸化酵素阻害剤だけでは尿酸値を十分に管理できない患者に追加投与する。

第三相試験では200mgと400mgの二用量を検討したが、後者の群では心血管疾患や急性腎不全が増加した。モノセラピー試験でもリスクが見られた。このため、200mgのアドオン用途しか承認されず、急性腎不全のリスクが枠付き警告された。

12年に12.6億ドルで買収したArdea Biosciencesの開発品。

リンク: FDAのリリース
リンク: アストラゼネカのプレスリリース

アクテリオン、肺動脈高血圧症治療薬が承認
(2015年12月22日発表)

FDAはスイスのアクテリオン社のUptravi(selexipag)を肺動脈高血圧症の治療薬として承認した。08年に日本新薬からライセンスしたプロスタサイクリン受容体作動剤。この作用機序は肺動脈高血圧症治療薬では一般的だが、経口剤(一日二回服用)であることが特徴。臨床試験では増悪による入院や疾病進行のリスクを抑制することができた。2016年発売予定。

リンク: FDAのリリース
リンク: アクテリオンのプレスリリース



今週は以上です。

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