2015年3月29日

海外医薬ニュース2015年3月29日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • MSD、抗PD-1抗体がBMSの抗CTLA-4抗体に勝つ
  • ノボ、もっと速効性のインスリンの試験が成功
  • 抗CD25抗体を多発性硬化症用薬として欧州で申請
  • CHMPがエーザイのレンビマなどの承認を支持
  • ノボ、デグルデクのアウトカム試験の中間データを提出へ
  • 肺炭疽治療薬が米国で承認
  • オレキシジェン、EUで体重管理薬が承認
  • ノボの体重管理薬もEUで承認
  • FDA、抗HCV薬とアミオダロンの併用を禁忌に
  • CHMP、骨粗鬆症用薬の注意事項をアップデート


【新薬開発】


MSD、抗PD-1抗体がBMSの抗CTLA-4抗体に勝つ

(2015年3月24日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab)が末期黒色腫一次治療試験でBMSのYervoy(ipilizumab)より大きな延命効果を示したと発表した。内容は4月19日にAACR米国腫瘍研究協会で公表される予定。

同じ抗PD-1モノクローナル抗体であるBMSのOpdivo(nivolumab、和名オプジーボ)もdacarbazine対照試験で全生存期間ハザードレシオ0.42という良い結果を出しており、Yeovoy対照/併用試験も進行中。抗CTLA-4抗体のYervoyが米国で承認されてから4年、braf変異型を除いて悪性黒色腫の一次治療は抗PD-1抗体が主流になりそうだ。

このKEYNOTE-006試験は、末期黒色腫で薬物療法未経験、またはYervoy以外の一次治療を受けた患者を組入れて二剤の効果を比較した第三相オープンレーベル試験。Keytrudaは10mg/kgを二週間に一回点滴静注する用法と、三週間に一回の用法を検討した。二次治療で承認されているのは2mg/kgを三週間に一回なので5~7.5倍に相当する。Yervoyは承認用法通りで、3mg/kgを三週間に一回、90分点滴静注した。主評価項目はYervoy群に対する全生存期間とPFS(無進行生存期間)の両方。

抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体は何れも癌細胞がTセルの活性を抑制するために用いる表面分子に結合し、ブロックすることで免疫力を強化する。どちらも至適用量が良く分からず、Yervoyはdacarbazine併用一次治療試験で10mg/kgが有意な延命効果を示したが、この併用法は欧米の何れでも承認されていない。免疫調停性有害事象の増加が懸念されるところだ。

Keytrudaの指摘用法も依然として検討段階と言わざるを得ない。この試験でOpdivoと同じ二週間に一回投与をテストしたことは両剤の今後の競争力を考える上で重要であり結果を見てみたいが、そもそも、2mg/kgではダメなのか、この試験だけでは分からない。MSDのプレスリリースによるとKeytruda群の安全性プロファイルは過去の治験と類似していた由であり、本当にそうなら10mg/kgでも良いかもしれないが、過去の試験では10mg/kgのほうが有害事象が多かった。

薬は副作用だけでなく金銭的支出も伴う。投与量が5~7.5倍ということは年間の薬剤費が現行の15万ドルから75~113万ドルに増加することを意味するので、薄ら寒い。Yervoyは4回投与するだけだが抗PD-1は癌が進行、または有害事象に不耐となるまで続ける。これだけ高価になると、もう一つ、患者が破産するまでを追加しなければならなくなる。もし10mg/kgが至適となったら価格体系見直しを求める声が高まるだろう。

リンク:MSDのプレスリリース

ノボ、もっと速効性のインスリンの試験が成功

(2015年3月25日発表)

ノボ ノルディスクは、FIAspの第三相試験が二本とも成功したと発表した。15年末頃に欧米で承認申請する予定。このインスリンは、NovoRapid(insulin aspart、和名ノボラピッド)の作用のオンセットを更に早くしたもの。

第三相試験は一型糖尿病と二型糖尿病に分けて実施され、後者ではHbA1cの低下がNovoRapidと非劣性だった。一型糖尿病ではNovoRapidより有意に低下したが差は0.32%対0.17%なので小さい。食後に投与する群も設定され、NovoRapid比で非劣性だった(0.13%)。

NovoRapidのような短期作用性インスリンも、サノフィのLantus(insulin glargine)のような持効性インスリンも、近い将来にバイオシミラーが登場するだろう。新製剤を開発して既存製品との違いを十分に明確にしておくことが重要だ。

リンク:ノボのプレスリリース(pdfファイル)

【承認申請】


抗CD25抗体を多発性硬化症用薬として欧州で申請

(2015年3月27日発表)

バイオジェン(Nasdaq:BIIB…3月23日付で社名変更)とアッヴィ(NYSE:ABBV)は、Zinbryta(daclizumab)を多発性硬化症の維持療法薬としてEUで承認申請し受理されたと発表した。

この抗CD25ヒト化モノクローナル抗体はロシュがプロテイン・デザイン・ラボ(PDL)からライセンスし97年に臓器移植後の急性拒絶反応防止薬Zenapaxとして発売したが、あまり普及せず、販売中止となった。ロシュは自己免疫疾患での権利も取得したが06年に返還、PDLはバイオジェンを新たなパートナーとした。その後、PDLは新薬開発事業とヒト化抗体技術をライセンスする事業に分社化。前者はバイオジェンから買収オファーを受けたが拒否、結局、アッヴィが7億ドル余で買収した。

Zinbrytaの開発は決して順調ではなく、安全性に懸念がある。CHMPがどのように評価するか、米国でも承認申請するのか、続報に注目したい。

リンク:バイオジェンのプレスリリース

【承認審査・委員会】


CHMPがエーザイのレンビマなどの承認を支持

(2015年3月27日発表)

EUの医薬品科学的評価委員会であるCHMPは3月の会議でエーザイの抗癌剤などについて肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月内にEU全域で承認されることになる。

リンク:CHMPのプレスリリース

エーザイのLenvima(lenvatinib、和名レンビマ)は進行性の局所末期/転移性分化甲状腺癌で放射性ヨウ素に反応しなかった患者に用いる。臨床試験ではメジアンPFS(無進行生存期間)が偽薬比14.7ヶ月長かった。高血圧や蛋白尿による減量が多く、CHMPは開始用量の検討を要請した。

分化甲状腺癌は乳頭腺や濾胞腺などの癌で甲状腺癌の9割を占める。症状を伴わない緩徐なものが多く、また、切除や放射性ヨウ素が有効だが、これらの治療に反応しない進行性の癌は予後があまり良くない。LenvimaはVEGF受容体をブロックする小分子薬で、類薬は数多く存在するが、同じ用途で承認されているのはバイエルのNexavar(sorafenib)だけ。Nexavarの試験では偽薬群の患者が進行後にNexavarを用いることが認められたためか、延命効果が確認されなかった。Lenvimaはどうなのだろうか?

Lenvimaは米国では優先審査の対象になり2月に承認、日本では迅速審査を経て先週承認、EUでも加速評価の対象になっている。

リンク:CHMPのリリース

Helsinn社のAkynzeoも肯定的意見を得た。NK1拮抗剤のnetupitantと5-HT3受容体拮抗剤palonosetronの合剤で、癌の化学療法の副作用である悪心嘔吐を予防する。5-HT3受容体拮抗剤は遅発性悪心嘔吐を防ぐ効果が弱いため、NK1拮抗剤で補完するアイディア。米国では昨年10月に承認、米国の共同販促権を持つエーザイが販売している。

MSDのGardasil 9を9歳以上の男女に用いることも支持された。ヒトパピローマウイルスによる子宮頸部や外陰部、膣、肛門の癌や性器いぼを予防するワクチンで、Gardasilは4種類のウイルス型の抗原を含有しているが、9は9種類。子宮頸癌の原因ウイルスの87%をカバーできるようだ。男も適用になるのは性的感染するから。

Gardasilを接種した人はどうすればよいのか、CHMPのリリースには記されていない。

リンク:CHMPのリリース

ベーリンガー・インゲルハイム/イーライリリーのSynjardyも支持された。SGLT-2阻害剤empagliflozinとmetforminの合剤で、二型糖尿病でmetforminだけでは血糖値を十分に管理できない場合に用いる。

適応拡大では、ロシュのTamiflu(oseltamivir)を1歳未満のインフルエンザ患者の治療に用いることが支持された。

ノボ、デグルデクのアウトカム試験の中間データを提出へ

(2015年3月26日発表)

ノボ ノルディスクは、Tresiba(insulin degludec、和名トレシーバ)とRyzodeg(degludecとaspartの合剤、和名ライゾデグ)の米国承認に必要な長期大規模試験の中間解析結果を4月に提出することを決めた。

EUや日本で承認されているが、米国は未承認。原因は明らかではないが、心血管安全性に関する米国独自の基準をクリアしていないのではないか。同社は13年にFDAから審査完了通知を受領した後に心血管アウトカム試験DEVOTEを開始、完了は16年下期の予定。事前に中間解析を行う旨定められていたが、当初は、中間解析をFDAに提出するか最終解析まで待つか、決めていなかった。

良好な内容なら年内に承認されることになる。尤も、ノボのプレスリリースは慎重なトーンだ。中間解析はイベント数が少ないため、偶然に良い数値や悪い数値が出てしまうリスクがある。そもそも、中間解析結果は一部の人たちしか知らず、経営陣も見ていない由。治験の厳格性を維持するために当然の措置だが、吉と出るか凶と出るか、分からないことになる。

リンク:ノボのプレスリリース(pdfファイル)

【承認】


肺炭疽治療薬が米国で承認

(2015年3月25日発表)

FDAはAnthrasilを肺炭疽治療薬として承認した。炭疽菌を吸入してしまった患者に抗菌剤と併用する。エマージェント・バイオソリューションズ(NYSE:EBS)の開発品で、同社の炭疽ワクチンを接種した健常者から採取・精製した免疫グロブリンG。米国保健福祉省で細菌兵器などの治療法を研究しているBARDA生物医学先端研究開発局の補助金を得て開発したもので、主用途は国家備蓄になる。

肺炭疽は発生率が極めて低く、また、致死率が高いため偽薬対照試験を行うのは困難。このため、薬効のエビデンスはヒト以外の霊長類の試験だ。偽薬群は全て死亡したが、Anthrasil群は36~70%が生存し、高用量の方が生存率が高いトレンドが見られた由。

EBS社は13年にCangene社を2.2億ドルで買収して入手した。

リンク:FDAのリリース

リンク:EBS社のプレスリリース

オレキシジェン、EUで体重管理薬が承認

(2015年3月26日発表)

オレキシジェン(Nasdaq:OREX)は、Mysimba(米名Contrave)がEUで体重管理薬として承認されたと発表した。bupropionとnaltrexoneの徐放性合剤で、肥満症または太り過ぎで心血管リスク因子を持つ患者に用いる。管理不良高血圧、癲癇、中枢神経系腫瘍、アルコールやベンゾジアゼピンの離脱を施行している患者、オピオイド依存、双極障害歴のある患者などは禁忌。米国では14年10月に共同販売権を持つ武田薬品が発売した。心血管アウトカム試験が進行中。

リンク:オレキシジェンのプレスリリース

ノボの体重管理薬もEUで承認

(2015年3月23日発表)

ノボ ノルディスクのSaxenda(liraglutide)もMysimbaと同様な適応症でEUで承認された。二型糖尿病薬Victozaの高用量版。ここ数年、次々と新しい体重管理薬が発売されているが、プレイヤーは日欧の大手製薬会社と米国の新興企業で、英米の大手製薬会社は静観している。各社の売上は今のところ低調だが、Saxendaは二型糖尿病薬の適応拡大なのでイメージは良い。

リンク:ノボのプレスリリース(pdfファイル)

【医薬品の安全性】


FDA、抗HCV薬とアミオダロンの併用を禁忌に

(2015年3月24日発表)

FDAは、NS5Bポリメラーゼ阻害剤sofosbuvirを含有するSovaldi(和名ソバルディ)やHarvoni(ledipasvir配合剤)を抗不整脈薬amiodaroneと同時使用しないよう警告した。

SovaldiとHarvoniは13~14年に承認された慢性C型肝炎治療薬で、インターフェロンを併用しなくても経口剤だけで高い奏効率を期待できる。今回の警告は市販後に9例の徐脈の有害事象報告があったため。1例の転帰は心停止、3例はペースメーカー埋込を受けた。発生メカニズムも因果関係も確立していないが、6例は治療開始後24時間以内に発症、残りも二週間以内だった。また、amiodaroneだけを止めた1例では軽快し、sofosbuvirを止めた後に再開した3例では再び発症したため、関連性が疑われる。

9例中7例はベータブロッカーを同時使用していた。また、sofosbuvirだけでなくBMSのdaclatasvir(日本でC型慢性肝炎治療薬ダクルインザ名で承認)またはジョンソン・エンド・ジョンソンのOlysio(simeprevir、和名ソブリアード)などの直接作用的抗C型肝炎ウイルス剤を併用していた模様だ。

amiodaroneを同時使用しなければならない患者は多くないだろうが、該当する場合は要注意だ。

リンク:FDAのリリース

CHMP、骨粗鬆症用薬の注意事項をアップデート

(2015年3月27日発表)

CHMPは、ビスフォスフォン酸やアムジェンのdenosumabで稀に発生する顎骨壊死(ONJ)を防ぐための注意事項をアップデートした。稀とはいえ発生すると日常生活に大きな足枷となるので、治療開始前・治療中に注意すべき事項を纏めて、また、患者が忘れないようにするためカードを用意することも発表した。

内容は、治療前に歯や口腔内をチェックすること、衛生を保つこと、など。抜歯が切っ掛けで発生することがあるからだ。リスク要因としては、薬の力価(骨吸収阻害作用が高いほどリスクが高い)、投与経路(注射用薬の方が経口剤より高リスク)、累積投与量。患者側のリスク因子は、癌、貧血、凝固障害、感染症、喫煙など。併用薬で注意すべきなのは、コルチコステロイド、化学療法薬、血管新生阻害剤、頭頸部癌の放射線療法など。抜歯以外にも歯周病や不安定な義歯、歯の病歴もリスク因子とのこと。

リンク:CHMPのプレスリリース

今週は以上です。

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2015年3月22日

海外医薬ニュース2015年3月22日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • 抗アミロイドベータ抗体が早期試験で効果の兆し
  • ACC:抗PCSK9抗体の心血管安全性データが発表
  • ACC:BrilintaのDAT試験が成功
  • Imbruvicaの併用試験が成功
  • サノフィ、リキスミアの心血管アウトカム試験が成功
  • GSK、諮問委員会がレルベアを成人向けに承認することを支持
  • コール酸補充療法が米国で承認


【新薬開発】


抗アミロイドベータ抗体が早期試験で効果の兆し

(2015年3月20日発表)

バイオジェン・アイデックは、2015 AD/PD(アルツハイマー病パーキンソン病及び関連神経学的障害国際会議)で、BIIB037(aducanumab)の後期第一相試験のデータを発表した。アミロイドプラクが投与量依存的に減少しただけでなく、高用量は臨床的評価項目でも良さそうな結果を出した。抗アミロイドベータ薬では久々の朗報だが、一群30~40例の小規模な試験なので過信はできないだろう。バイオジェンは第三相試験を開始する予定。

BIIB037はスイスのNeurimmune社が長寿で認知機能が正常な健常者から発見・創製した抗体で、アルツハイマー病患者でしばしば見られるアミロイド凝集体に結合して、脳内の免疫細胞であるミクログリアに攻撃・除去させる。バイオジェンは07年に世界開発商業化権を取得した。

エーザイもスウェーデンのニューロサイエンス社から抗可溶性プロトフィブリル抗体BAN2401の開発販売権を取得、後期第二相試験を実施している。バイオジェンとエーザイは昨年、BAN2401など二剤の共同開発商業化で合意し、同時に、エーザイがBIIB037のライセンス・オプションを取得した。この結果、アミロイドベータ凝集体を標的とする抗体医薬の中で最も開発が進んでいる二品を両社が独占できるようになった。

今回の後期第一相試験は、前駆・軽度アルツハイマー病でアミロイドベータ検査で陽性だった患者を組入れて、偽薬又は試験薬を54週間、反復投与したもの。試験用量は体重1kg当り1、3、6、10mgで、4週間に一回、1時間点滴静注した。マウスの試験では3mg/kg以上でアミロイドベータ除去効果が見られた。6mg群は途中で追加されたため、まだ54週のデータはない。

学会では中間解析結果が発表された。まず、アミロイドプラクを削減する効果(26週時点、偽薬群との差)は、1mg/3mg/6mg/10mgの各群が0.030/0.087/0.143/0.205となり、1mg以外は統計的に有意だった。54週時点では1mg/3mg/10mgの各群が0.056/0.139/0.266でここでも1mg以外は有意だった。54週時点の方が減少が大きく、効果が累積的であることを示唆している。

臨床的評価は探索的解析で、CDR-SBとMMSEの二種類の病状診断スコアを用いた。CDR-SBは身体機能と認知機能の評価スコアで、前駆・軽度アルツハイマー病治療薬の有効な評価方法として欧米の承認審査機関に支持されている。MMSEはアルツハイマー病の診断に広く用いられているが、病状変化を定量的に測定する手法としてはあまり鋭敏ではないと考えられている。

54週時点の解析なので6mg群のデータはない。CDR-SBは偽薬/1mg/3mg/10mgの各群で2.01/1.70/1.33/0.59悪化した。10mg群は偽薬比でp<0.05だった(多重性補正が行われていないので厳密には統計学的に有意とは言えない)。MMSEは各群、3.14/2.21/0.75/0.58悪化となり、3mgと10mgはp値が0.05を下回った。

過去の抗アミロイドベータ抗体医薬の試験では、血管浮腫の副作用が特にApoE4という加齢性アルツハイマー病関連遺伝子多型を持つ患者で、多く発生した。免疫細胞が凝集体を攻撃する時に血管が流れ弾に当たるのだろう。ApoE4型は元々、血管浮腫のリスクが高いと言われており、副作用が出やすいのかもしれない。造影検査で発見できるため、今日ではARIA(アミロイド関連映像異常)と総称されている。

BIIB037は血管のアミロイドベータ凝集体には結合し難いため、損傷を与えるリスクは小さいと考えられてきたが、そうでもなさそうだ。1/3/6/10mg群のARIA関連浮腫発生率はキャリアでは5/5/43/55%、これを理由とする投与中止の発生率は5/0/10/35%だった、一方、ノンキャリでは0/9/11/17%と0/0/11/8%だった。全般的に症状を伴わない、あっても軽度で一時的に終わることが多く、過半の症例は用量を減らして投与を続行できたとのことだが、今後も要注意だろう。

この試験は症例数が少ないので信頼性が低いが、後期第一相段階のデータとしては良好だ。3mg/kg以上が有効というマウス試験の所見が裏付けられ、アミロイドプラク除去効果も、臨床的効果も、用量相関しているように見える。

留意点は三点。臨床試験のデータを見る時は偽薬群の数値を過去の試験と照らし合わせて確認することが重要だが、偽薬群のCDR-SBの1年間の悪化はやや大きいように感じられ、この試験に参加した患者に何らかの特殊性があった可能性を感じさせる。証券アナリストの事前の想定と比べると、相対リスク削減率の点では想定をはるかに上回ったが絶対差はレンジの真ん中辺りであり、どちらを重視すべきか難しくなっている。これも、この試験の悪化が想定より大きかったことが原因と推測される。

第二は、治療効果の臨床的意義。CDR-SBも前駆アルツハイマー病も過去の臨床試験の実績が少なく、どの程度の効果があれば臨床的に意義があるのか良く分からない。尤も、FDAは統計学的に有意な差があれば治療効果の多寡は問わないスタンスのようであり、この問題は承認審査の段階では重要ではないだろう。

第三は、血管浮腫だ。BAN2401もアミロイドベータ・モノマーに対するプロフフィブリル選択性が1000倍以上高い模様であり、もしBAN2401のARIA浮腫リスクが小さいなら、こちらの方が有望になるだろう。

もう一つ指摘したいのは、この試験の隠れた意義だ。アミロイドベータに作用する薬はアミロイドベータ蓄積を持つ患者に特に有効である可能性があるが、これまで、軽視されていた。今回の試験は事前に検査・スクリーニングを行っており、これが成功の陰の立役者かもしれない。過去の失敗から学び同じことを繰り返さないことの重要性を示した。

リンク:バイオジェン・アイデックのプレスリリース

ACC:抗PCSK9抗体の心血管安全性データが発表

(2015年3月15日発表)

欧米で承認審査中である二種類の抗PCSK9抗体の長期試験データがACC米国心臓学会とNew England Journal of Medicine誌で発表された。どちらも明確なエビデンスとは言えないが、心血管疾患のリスクを削減する可能性を示唆する好ましい内容だ。

リジェネロン(Nasdaq:REGN)がサノフィと共同開発しているPraluent(alirocumab)は、ODYSSEY LONG TERM試験の結果が発表された。LDL-Cが70mg/dL以上で心血管リスクの高い患者2341人を150mg(二週間に一回、皮注)群と偽薬群に2対1割付し、78週間に亘ってフォローした二重盲検試験。

被験者の7割が冠状心疾患、3割が二型糖尿病、ほぼ全員がスタチンを服用し、半分近くが高用量を用いていた。ezetimibeは14%が服用。LDL-Cはベースライン時点で平均120mg/dだったが、24週間で試験薬群は61%低下、偽薬群は0.8%上昇し、夫々平均48mg/dLと119mg/dLとなった。著高リスク患者を70mg/dL未満に引き下げる、アグレッシブ療法試験の一つと言えるだろう。

投与中止は各群28%と24%で、皮注薬であるせいかやや多いように感じられるが、有害事象による投与中止は7%と6%なので、全般的には忍容性は良好だった。

事前に設定された心血管有害事象の解析は、発生頻度が4.6%対5.1%で大差なかった。しかし、進行中の心血管アウトカム試験と同じ項目(冠状心疾患死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院)だけをカウントする事後的解析では、1.7%対3.3%、ハザードレシオ0.52、名目p値は0.02だった。なぜ結果が食い違ったのが論文では検討されていないが、各項目のデータを見ると、前者の解析で一番発生数が多い『虚血による冠血行再建術』で大差なかったことと、数は少ないが鬱血性心不全による入院が多かったことが影響したのだろう。

好ましい結果だが、釈然としない点もある。PCIが普及した今日では、早めに施行して症候性心筋梗塞などを未然に防ごうとするのが一般的であるが、当然、費用が掛かる。アテローム硬化の転帰を改善できるなら冠血行再建術の必要性や医療費を減らせそうなものだが、異なった結果になった。

また、発生頻度が低いので偶然かもしれないが、鬱血性心不全による入院が増加したことは要注意だ。ソフトなエンドポイントで主観や医療施設の方針に左右される可能性があるが、心血管項目は第三者の検証を受けているので通常の試験よりは信頼性が高い。心血管疾患だけでなく、筋痛や神経認知イベント(無気力、記憶障害、混乱など)、眼科的事象も若干増加した。これらの事項はアウトカム試験でもう一度チェックすることになるだろう。

もう一つ、アムジェンのRepatha(evolocumab)は、第二相と第三相の延長試験のプール分析が発表された。本試験の割付とは関係なしに4465人を試験薬と標準療法だけの群に2対1無作為化割付してメジアン11ヶ月追跡したもの。デザイン面での留意点は、盲検ではないこと、本試験を無事に終了した患者だけが対象というスクリーニングバイアスがあること、第二相の延長試験では420mgを4週間に一回皮注したが第三相延長試験では患者が望めば140mgを2週間に一回でも可とされたため用量用法が一定していないこと。

心血管疾患は心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症による入院、冠血行再建術、卒中、TIA、心不全による入院をカウントした。結果は、1年時点のカプランマイヤー推定で発生率0.95%対2.18%、ハザードレシオ0.47、95%信頼区間0.28~0.78となった。評価項目はalirocumabの事前に設定された解析と類似しているが、結果は事後的解析と同様なものになった。

深刻な有害事象は各群大差なかった。有害事象全体では当然のことながら注射箇所反応が増加。筋痛、神経認知イベント、頭痛、肢痛、疲労も若干増加しているが、このうち幾つかは注射箇所反応と関連しているのかもしれない。

スタチンは米国で数千万人が服用しているので、数万人に一人の副作用リスクでも1000人が発症する計算になる。抗PCSK9抗体を必要とする患者は一部に過ぎないが、著高リスク患者に70mg/dL未満を目指すアグレッシブ療法の有効性が明らかになってきたこともあり、広く使われる可能性が残っている。それだけに、両剤の心血管アウトカム試験で稀だが深刻なリスクを明確にする必要がある。

リンク:ODYSSEY LONG TERM試験論文(NEJM、オープンアクセス)

リンク:OSLER試験論文(NEJM、オープンアクセス)

リンク:N. Stoneのエディトリアル(NEJM、オープンアクセス)

リンク:リジェネロンとサノフィのプレスリリース

ACC:BrilintaのDAT試験が成功

(2015年3月14日発表)

ACCとNEJM誌では、アストラゼネカの抗血小板薬、Brilinta(ticagrelor)の適応拡大試験の結果も発表された。心筋梗塞発症後1~3年経った患者にアスピリン(75~150mg)と偽薬、60mg、90mgの何れかを一日二回投与して心血管イベントを追跡したもの。8割超がPCI経験者。高リスク患者に長期的に二種類の抗血小板薬を投与するDAT(Dual Anti-platelet Therapy)の有効性を検討した試験の一つと言えるだろう。日本の施設も参加した。

主評価項目は心血管死、心筋梗塞、脳卒中というハードなものだけ。結果は、3年時点のカプランマイヤー推定による発生率が各群9.04%、7.77%、7.85%となり、偽薬比ハザードレシオは60mgが0.84、90mgは0.85。低量、高量、共に偽薬比有意。用量間の差は小さそうだ。尚、Brilintaは急性冠症候群に承認されているが、承認されている維持療法は90mg一日二回。

DATは出血リスクが高まるので便益とのバランスが問題になる。この試験はTIMI(米国の血栓学共同研究グループ)が主導したが、このTIMIの定義に基づく大出血の発生率は各群1.06%、2.30%、2.60%となり、偽薬比有意に増加した。NEJMのエディトリアルが指摘するように、1万人に1年間投与すると42人を心血管イベントから救うことができるが31人が大出血を被るため、良し悪しである。結局、昨年のAHAで発表されたDAPT試験と同じような結果になった。

有害事象による治験離脱は各群8.9%、16.4%、19.0%で、理由としては出血や消化不良が多かった。消化不良はBrilintaの特徴的な有害事象で、clopidogrelやEffient(prasugurel)のようなP2Y12受容体拮抗剤なら回避できるだろう。

アストラゼネカは欧米で適応拡大申請を行った。高リスク患者には有益だろうが、問題は、スクリーニング基準だ。医師の判断に委ねることになるが、医師は何に基づいて判断すべきなのか?今回の試験のような、年3%の確率で発症すると予想される患者は、出血リスクを覚悟してもDATを受けるべきなのか?個々の判断に任せるなら、そもそも何のためのEBMなのか?難しい問題を投げかけている。

リンク:PEGASUS-TIMI 54試験論文(NEJM、オープンアクセス)

リンク:J. Keaneyのエディトリアル(NEJM、オープンアクセス)

リンク:アストラゼネカのプレスリリース

Imbruvicaの併用試験が成功

(2015年3月16日発表)

ファーマサイクリクス(Nasdaq:PCYC)は、Btk阻害剤Imbruvica(ibrutinib)の適応拡大試験が成功したと発表した。慢性リンパ性白血病(CLL)と小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントルセルリンパ腫(MCL)の三種類の血液癌にモノセラピーで使うことが承認されている。

今回の試験は、CLL/SLLの二次治療薬としてRituxan(rituximab)及びTreanda(bendamustine、和名トレアキシン)と併用する効果をこの二剤だけの併用と比較したもので、中間解析でPFS(無進行生存期間)を有意に延ばす効果が認められた。データはASCO米国臨床腫瘍学会で発表される予定。適応拡大に向かうことになりそうだ。

Imbruvicaはジョンソン・エンド・ジョンソンと共同開発販売。ファーマサイクリクスはアッヴィに210億ドルで買収されることで合意している。

リンク:ファーマサイクリクスのプレスリリース

サノフィ、リキスミアの心血管アウトカム試験が成功

(2015年3月19日発表)

サノフィは、二型糖尿病の治療に用いるGLP-1作用剤、Lyxumia(lixisenatide、和名リキスミア)の心血管アウトカム試験が成功したと発表した。二型糖尿病の高リスク患者を組入れてLyxumiaと偽薬を比較したもので、心血管リスクが偽薬比非劣性だった由。データは未発表。

Lyxumiaは欧州や日本では13年に承認されたが、米国は申請撤回となった。FDAは糖尿病薬の承認審査に際して心血管安全性に関わる臨床試験のメタアナリシスを要求、一定のハードルを満たしていない場合は心血管アウトカム試験の結果(中間解析でも可)が出て懸念が払拭されるまで承認しない方針を採用している。

EUの審査文書によるとLyxumiaのMACE(主要有害心血管イベント)のハザードレシオは1.25(95%信頼区間0.67~2.35)であった模様で、ハードルをクリアできていない。脳卒中が多かった模様であり、脳卒中のリスクが高い国では懸念すべき材料だろう。

しかし、きちんとした試験で懸念を排除できたならば、今回は承認される可能性がありそうだ。

リンク:サノフィのプレスリリース

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会がGSKのレルベアを成人向けに支持

(2015年3月19日発表)

グラクソ・スミスクラインは吸入ステロイドのfluticasone furoateと長期作用性ベータ2作用剤vilanterolの合剤であるBreo(欧州ではRelvar、日本ではレルベア)を開発、米国ではCOPDの維持療法として、日本では喘息症維持療法として、EUではその両方の用途で販売している。

承認用途が区々だが、日本でCOPDで承認されなかったのは日本の試験でfluticasoneの単剤投与群がフェールしたことが原因である模様。米国で喘息症が承認されなかったのはFDAが長期作用性ベータ2作用剤の喘息増悪リスクを懸念していることが原因。GSKは14年に12歳以上の喘息症患者を対象に適応拡大を申請、FDAは肺・アレルギー薬諮問委員会と薬品安全性・リスク管理諮問委員会の共催会議を開き、意見を聞いた。

結果は、18歳以上の成人患者に関しては20人の委員中16人が承認を支持したが、12~18歳の青少年は18人が反対、残りの二人のうち一人も正式採決後に実際は反対であることを表明したようだ。青少年に対する効果は16人が、安全性については19人が立証不十分と判定した。FDAは長期作用性ベータ2作用剤のメーカーに市販後安全性試験を求めているが、Breoに関しても、成人については13人、青少年は17人が実施すべきと回答した。

適応拡大の審査期限は4月30日。FDAのこれまでのスタンスを考えると、成人向けに諮問委員会の支持を受けたとは言え、承認に青信号が点ったとは言えないだろう。

リンク:GSKのプレスリリース

【承認】


コール酸補充療法が米国で承認

(2015年3月15日発表)

FDAは、Cholbamカプセル(cholic acid)を単一の酵素の欠乏による胆汁酸合成障害とペルオキシソーム障害の成人及び小児の治療薬として承認した。これらの遺伝性希少疾患は、コール酸合成酵素を産生できず、成長障害や命に係る肝疾患のリスクが高まる。Cholbamの単群試験では肝機能検査値と体重を尺度に奏効率を検討。被験者の3年生存率は胆汁酸合成障害試験が66%、ペルオキシソーム障害試験は42%だった。

承認申請したAsklepion社は希少小児疾患優先審査バウチャーを取得した。Retrophin(Nasdaq:RTRX)がオプト・イン・オプションを保有しており、無事承認されたため行使してCholbam関連資産を取得する予定。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:Retrophinのプレスリリース

今週は以上です。

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2015年3月14日

海外医薬ニュース2015年3月15日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • CTI、骨髄線維症の第三相が成功
  • FDA諮問委員会が二重顎治療薬を支持
  • ブリディオンの米国承認がまた遅延
  • 小児神経芽細胞腫用薬が米国で承認
  • FDA、チャンピックスの警告強化


【新薬開発】


CTI、骨髄線維症の第三相が成功

(2015年3月9日発表)

CTIバイオファーマ(Nasdaq:CTIC)と開発パートナーのバクスター(NYSE:BAX)は、pacritinibの第三相骨髄線維症試験が成功したと発表した。詳細は学会で発表する予定。年内に米国で、欧州は来年、承認申請の予定。

骨髄線維症といえば11年に米国でインサイト/ノバルティスのJAK1/JAK2阻害剤、Jakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)が承認されている。pacritinibはJAK2とFLT3を阻害、JAK1を阻害しないので血小板減少症などの副作用が小さい可能性がある。

今回のPERSIST-1試験は、Jakafiの適応である中重度リスクの骨髄線維症、真性赤血球増多症性、本態性血小板血症の患者をpaclitinibを一日一回、経口投与する群とbest available therapy(BAT)の群に2対1で割付けて脾臓量削減効果を検討した。Jakafiが承認されている国ではJakafiがbest available therapyである筈だが、この試験では禁止された。一方で、Jakafiの第三相試験では除外された血小板数が著しく低下した患者も組入れた。

プレスリリースには記されていないが、同社がSECに提出した年次報告書(10-K)によると、脾臓量削減成功率は19.1%でBAT群の4.7%を有意に上回った。Jakafiの試験では29%対0%だったので、患者背景が異なるのかもしれないが、見劣りする。

Jakafiは血小板数減少の副作用があり、検査数値に応じて用量を調整する必要がある。paclitinibは著しく低下した患者にも有効であった模様なので、このサブグループには貴重な選択肢になりうるだろう。

paclitinibはもう一本、PERSIST-2試験が進行中。こちらはJakafiを含むBATとの比較なので、どの程度の患者がJakafiを服用しているのか明らかではないが、ある程度の直接比較ができるかもしれない。FDAの特別プロトコル評価(SPA)を受けており、その意味でも、こちらの試験の方が重要だろう。

リンク:CTIのプレスリリース

リンク:CTIの年次報告書(7頁に治験データが記載)

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会が二重顎治療薬を支持

(2015年3月9日発表)

Kythera Biopharmaceuticals(Nasdaq:KYTH)は、頤下脂肪(二重顎)治療薬として昨年5月に承認申請したATX-101(deoxycholic acid)がFDAの皮膚眼科用薬諮問委員会の支持を受けたと発表した。17人の委員全員が便益がリスクを上回ると判定した。承認されれば初の二重顎治療薬になる。

天然の食物脂肪分解物質であるデオキシコール酸を化学合成した薬で、脂肪領域に月一回、最大4回注射する。第三相試験では、医師評価による奏効率と患者評価による奏効率が何れも偽薬群を有意に上回った。

2010年にバイエルが北米以外の権利を取得したが、14年に返還、見返りにKytheraの株式と債権、北米以外の売上に関する達成報奨金を受け取る権利を確保した。

リンク:Kytheraのプレスリリース

ブリディオンの米国承認がまた遅延

(2015年3月13日発表)

MSDは、Bridion(sugammadex、和名ブリディオン)のFDA諮問委員会がキャンセルされ、審査完了通知を受け取る見込みになったと発表した。

rocuroniumなどで全身麻酔を施行した後の回復に用いる選択的筋弛緩剤結合剤で、欧州では08年、日本でも10年に承認され、特に日本で普及している模様だ。米国は07年に承認申請されたが過敏反応リスクが見られたためFDAがアレルギー感受性試験の実施を求めた。13年に結果が提出され、諮問委員会が予定されたが、試験実施施設の立入り調査結果を検討するために、キャンセルされた。MSDは追加試験を実施し昨年10月に提出、3月18日に諮問委員会開催が予定されたが、またキャンセルになってしまった。

今回も理由は治験施設の立入り調査を行うことだ。スケジュール的に審査期限の4月22日に間に合わないため、審査完了通知を受領する可能性が高まった。

他社の薬の安全性確認試験で治験医が副作用に関する虚偽報告を行った前例があることはあるが、考え難い。なぜこんなことになったのか気になるところだ。

リンク:MSDのプレスリリース

【承認】


小児神経芽細胞腫用薬が米国で承認

(2015年3月10日発表)

ユナイテッド・セラピューティクス(Nasdaq:UTHR)は、FDAがUnituxin(dinutuximab)を小児神経芽細胞腫用薬として承認したと発表した。高リスク患者に集学的一次治療(切除、化学療法、造血幹細胞移植、及び放射線療法)を施行し部分反応以上だった場合に、isotretinoinと併用する。

腫瘍細胞の表面のGD2糖脂質を標的とするキメラモノクローナル抗体で、臨床試験では3年無再発生存率が63%とisotretinoinだけを投与した群の46%を上回り、3年生存期間も73%対58%で上回った。重度神経痛などの神経毒性や点滴反応が枠付警告されている。

同社は希少小児疾患優先審査バウチャーを獲得した。優先審査指定されない薬でもこのバウチャーを使えば優先審査される。他社が購入して用いることも可能で、類似のバウチャーが6700万ドルで譲渡されたことがある。

リンク:FDAのリリース

リンク:ユナイテッド社のプレスリリース

リンク:同(バウチャー取得について)

【医薬品の安全性】


FDA、チャンピックスの警告強化

(2015年3月9日発表)

FDAはChantix(varenicline、和名チャンピックス)に関する安全性情報を発出し、飲酒や癲癇に関する警告を追加したと発表した。

Chantixは選択的ニコチン受容体部分作動剤で、禁煙の補助療法薬。喫煙は肺癌や膀胱癌、COPD、心筋梗塞などのリスク因子だが、その多くは禁煙によってリスクを緩和できる。06年の米国発売時は大きな期待を受けたが、異常行動例が大きく報道され、激性や鬱気分、行動異常、自殺思慮などに関する枠付警告が導入されたため、売上高が08年の8.4億ドルをピークに減少に転じた。製造物責任訴訟が提起され、ファイザーは数億ドルの和解金を負担することになった。

ファイザーは精神学的安全性に関する調査分析を行い、警告解除を求めたが、昨年10月の諮問委員会では、8000人の大規模試験の結果が15年第3四半期に出るまで解除すべきではないという意見が過半を占めた。

今回の安全性情報は自発的有害事象報告(FAERS)の分析に基づくもの。アルコールに対する耐容力を低下させ激性行動のリスクを高めたり、癲癇発作を起こしたりすることが稀に起きるようだ。前者は48例、後者は64例で、Chantixは13年だけで米国の120万人が服用したので、頻度は低い。

発端になったダラスの事件は、ガールフレンドの家で飲酒していたロック・ミュージシャンが突然隣家のドアの前で騒ぎ、ドア越しに住人に射殺されたというもの。報道によると、以前にも飲酒時に幻覚を起こしたことがある由であり、私は、服用中はタバコだけでなく飲酒も我慢した方が良いかもしれないと書いたことがある。

リンク:FDAの安全性情報

今週は以上です。

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2015年3月8日

海外医薬ニュース2015年3月8日号



【ニュース・ヘッドライン】




  • 科学か、知的財産か、投資家保護か、それが問題だ
  • アムジェンのKyprolisがVelcadeに勝った
  • ベーリンガーがプラザキサ中和剤を承認申請
  • BMS、米国でYervoyの適応拡大申請が受理
  • バシリア/アステラスの抗真菌薬が米国で承認
  • オプジーボの適応拡大が光速承認
  • 米国初のバイオシミラーが承認
  • セルジーン、EUでアブラキサンが適応拡大


【今週の話題】


科学か、知的財産か、投資家保護か、それが問題だ

(2015年3月3日発表)

オレキシジェン(Nasdaq:OREX)が武田薬品と米国で販売している体重管理薬、Contrave(bupropionとnaltrexoneの徐放性合剤)について、ちょっとした議論が起きている。長期的な心血管安全性を確認するLIGHT試験の中間解析結果をオレキシジェンが公表したため、まだ進行中なのに治験の厳格性を損ねると批判が出ているのだ。報道によると、データ監視委員会の有力メンバーも、パートナーである武田も、眉をひそめている模様だ。

過去の経緯はこうだ。Contraveは米国で10年に承認申請されたが、血圧や心拍数の増加が見られたためFDAが心血管安全性確認試験の実施を要請、12年にLIGHT試験が開始された。9000人の肥満・高リスクオーバーウェート患者を組入れて心筋梗塞や脳梗塞、心血管死のリスクを偽薬と比較する。

開発をスピードアップするために、中間解析でリスクが著しく高い可能性を否定し最終解析でリスクが小さいことを確認する二段階方式が採用された。閾値は、中間解析はハザードレシオの95%上限が2未満、最終解析は1.4未満とされた。

この二段階方式はrosiglitazoneの心血管疾患リスク問題を契機に糖尿病新薬に心血管アウトカム試験が義務付けられて以来、広く採用されるようになった。長期大規模試験の完了を待っていたら新薬開発が遅れてしまうので妥協策として中間解析を使う。観察期間が短いとイベント発生数が少なくなり治験の検出力が低下するため、信頼区間が広くなる。そこで、第二の妥協策として、リスクが1.9倍であっても容認することになった。勿論、本当に1.9倍なら許容できないが、真偽は最終解析を待って判断する。

LIGHT試験は13年に中間解析が成功、その翌年にContraveが承認されたが、ここで最初の珍現象が起きた。FDAが心血管安全性確認試験をもう一本、実施するよう求めたのだ。中間解析結果を多くの関係者が知ったために治験の厳格性が損なわれることを懸念した。FDAの資料によると、オレキシジェンのCEOや幹事証券会社、武田の営業責任者など100人以上が知ることのできる立場にあった。

FDAは、同時に、LIGHT試験を最後まで実施することも求めた。新しい発見があるかもしれないし、もう一本の試験が順調に完了するとは限らないからだ。従って、中間解析の詳細を公表するのは好ましくないのだが、オレキシジェンが中間解析のデータに基づいて出願していた特許が発行され、明細書に記されていた治験データが白日の下に晒されてしまったのである。

更に、オレキシジェンは重要な情報を全ての投資家に公平に開示する意図で、データサマリーをSECに提出した。一見すると大変良さそうなデータであり、カプラン・マイヤー・カーブも信じられないほど早く、きれいに分離している。

具体的には、主要有害心血管イベントの発生数がContrave群は4455人中35人、偽薬群は4450人中59人、ハザードレシオは0.59、95%信頼区間は0.39~0.90、p値は0.0001未満。大きな差があったのは心血管死でハザードレシオ0.26、95%信頼区間0.10~0.70だった。データが100人以上に周知されたのは中間解析の後である模様なので、このデータ自体に疑惑が生じている訳ではない。公開後にオレキシジェンの株価が高騰したのは頷ける。

だが、投資家が希望の種を探し物事を楽観的に受け止める傾向があるのに対して、医学者や統計学者は効能については慎重に、リスクについては真剣に、受け止めなければならない。今回の中間解析は目標イベント数の1/4しか発生していない段階のものなので、数値が良くても悪くても元々が荒いデータなのだから信頼性は低い。最終解析がハザードレシオで1に近付いたり、有意性が失われたりすることも珍しくないのである。

この試験は、体重管理薬の一般的な用法に即して、体重が十分に減少しなかった患者は服用を止めるプロトコルが導入され、過半の患者が途中で服用を中止した。だから、上記のIntent-to-treat分析でこんなに良い数字が出るのは意外であり、両群のカプラン・マイヤー・カーブが1ヶ月も経たないうちに分かれていることにも違和感がある。心血管死だけが95%上限が1未満であったことも奇妙で、普通は、イベント数の多い心筋梗塞で1未満であっても心血管死では1を跨ぐことが珍しくない。

何故オレキシジェンは信頼性が高くない、そして公表すべきでないデータを公表したのか?Contraveの売上を増やすためなのか?おそらく、違うだろう。単に、治験の厳格性や統計学の基礎を知らないだけなのではないか。新興企業や有名な医学者でも時々見られることだ。宝くじに当たったからといって、自分を天才と思い込んで全財産を投じてはいけない。世の中は偶然に満ち溢れているのだから。

リンク:オレキシジェンが取得した特許

リンク:オレキシジェンのSEC提出文書

【新薬開発】


アムジェンのKyprolisがVelcadeに勝った

(2015年3月1日発表)

アムジェンは、多発骨髄腫の三次治療薬として承認されているKyprolis(carfilzomib)が二次治療直接比較試験の中間解析で武田薬品/ジョンソン・エンド・ジョンソンのVelcade(bortezomib)より優れたPFS(無進行生存期間)を達成したと発表した。数値はなかなか良く、留意すべき点はあるものの、進行中の一次治療直接比較試験に期待を持たせる。

どちらもプロテアソーム阻害剤で、発売が9年遅かった分、Kyprolisの売上高は見劣りするが、エビデンスが積み重なるにつれて差を詰めて行くだろう。今回のENDEAVOR試験の結果はASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表される予定で、Kyprolisの長所と見做されている末梢神経症の副作用に関する分析も公表されるようだ。

ENDEAVOR試験は多発骨髄腫二次治療の代表的レジメンの一つであるVelcade・dexamethasoneの併用と、Kyprolis・dexamethasoneの併用法のPFSを比較した。一次治療でVelcadeを使った患者も受け入れたので、Velcade群に不利であるように感じられる。通常は、このような患者の二次治療にはRevlimid・dexamethasoneのレジメンを使うのではないか。

Kyprolisは三次治療モノセラピーで承認されている用量用法より高量を用いた。28日サイクルでサイクル毎に6回投与する点では同じだが、承認用法は第1サイクルは一回20mg/m2を2~5分点滴、第2サイクル以降は27mg/m2に増量であるのに対して、30分点滴で第1サイクルの3回目から56mg/m2に増量した。

結果は、Kyprolis群のメジアンPFSは18.7ヶ月、Velcade群は9.4ヶ月、ハザードレシオ0.53、95%信頼区間0.44~0.65という実薬対照試験とは思えないほど大きな差があった。全生存期間の解析は未だ行われていない。忍容性は、有害事象による治験離脱や治療期間中の死亡は両群同程度だった。但し、心不全や腎不全はKyprolis群のほうが多かった由。

学会発表時には、一次治療でVelcade以外の薬を用いた患者のデータや、高集中度レジメンの忍容性、そして心不全や腎不全、末梢神経障害の発生頻度や重篤度がチェックポイントになりそうだ。

一次治療直接比較試験はMPレジメン(melphalanとprednisone)と併用するCLARION試験とRdレジメン(Revlimid<lenalidomide>と低量dexamethasone)と併用するECOG主導試験の二つが進行中で、開票は来年以降だろう。

リンク:アムジェンのプレスリリース

【承認申請】


ベーリンガーがプラザキサ中和剤を承認申請

(2015年3月3日発表)

ベーリンガー・インゲルハイムは、Pradaxa(dabigatran etexilate mesilate、和名プラザキサ)に結合して作用を中和する完全ヒト化抗体フラグメント、idarucizumabを欧米カナダで承認申請したと発表した。FDAからブレイクスルーセラピー指定を受けており、優先審査になるのではないか。

Pradaxaのような直接的トロンビン阻害剤やXarelto(rivaroxaban、和名イグザレルト)のようなXa阻害剤はワーファリンより薬物動態が優れているが、難点は、例えば事故に遭ったり緊急手術が必要になった時の解毒剤がないことだ。出番は決して多くないだろうが、万一の備えはあった方が良い。

Xa阻害剤の中和剤ではポートラ・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:PTLA)が遺伝子組換え型ヒトXa因子、andexanet alfaを開発中。こちらもブレイクスルーセラピー指定されており、年末までに承認申請される見込みだ。

リンク:ベーリンガーのプレスリリース

BMS、米国でYervoyの適応拡大申請が受理

(2015年3月2日発表)

BMSは、末期黒色腫用薬Yervoy(ipilimumab)の適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。PDUFA審査期限は10月28日。ステージ3の癌を完全切除した後に、高リスク患者に対して施行するアジュバント療法で、治験データを見る限りでは有効だが忍容性に難がありそう。承認されたとしても特にリスクの高い患者に限定して用いられることになるのではないか。

YervoyはCTLA-4に結合する抗体医薬で、活性化した細胞傷害性Tセルが腫瘍細胞によって抑制されるのを妨げる。承認されている用量用法は3mg/kgを90分点滴静注、3週間毎に計4回だが、多くの試験では10mg/kgを採用しており、今回も同じ。初めは3週間毎、5回目からは3ヶ月毎に、最長で3年間投与した。

結果は、無再発生存期間のメジアン値が26.1ヶ月と偽薬群の17.1ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.75、95%信頼区間0.64~0.90だった。3年時点の無再発生存率は46.5%でこれも偽薬群の34.8%を上回った。全生存期間の解析結果は未だ発表されていない。

術後アジュバント療法はその時点では軽快した患者が対象なので、末期癌より高い忍容性が求められる。Yervoy群は半分の患者が薬物関連有害事象により治験を離脱、うち致死的な症例が5例(全体の1.1%)だった。

コース全体では、末期黒色腫の3倍以上の量を3~4倍の回数、投与するので、途中で離脱しなければ薬剤費が100万ドルを超える。大変高額な治療なので、一部の患者にしか使われなくても十分にペイするだろう。

リンク:BMSのプレスリリース

【承認】


バシリア/アステラスの抗真菌薬が米国で承認

(2015年3月6日発表)

スイスのバシリア(SIX:BSLN)は、ライセンシーのアステラス製薬が米国で承認申請していたCresemba(isavuconazonium sulfate)がFDAに承認されたと発表した。アゾール系の抗真菌薬で、侵襲性アスペルギルス症やムーコル症の治療に用いる。静注用と経口剤がある。感染症製品認定を受けており、排他権が5年間、延長されることになる。この疾患は臓器移植や血液癌などの治療で免疫力が低下した患者が発症しやすく、アステラスには販売面のシナジーがある。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:バシレアのプレスリリース

オプジーボの適応拡大が光速承認

(2015年3月4日発表)

FDAはBMSのOpdivo(nivolumab、和名オプジーボ)を扁平上皮非小細胞性肺癌の二次治療に用いる適応拡大を承認した。BMSが申請受理を公表したのは2月末なのでビッグサプライズだ。光速承認の最大の立役者はBMSとFDAの努力だが、BMSの行動と広報にタイムラグがあったことも一因だろう。

Opdivoは米国では14年9月に末期黒色腫の二次治療薬として承認申請され、3ヶ月後に承認されたが、それに先立つ14年4月に再発性扁平上皮非小細胞性肺癌用薬としてローリング承認申請が開始されていた。承認申請に必要な三種類の文書が揃う前に、出来上がったものから提出して審査を開始してもらうもので、通常は、臨床試験のデータが最後に提出される。薬の特性や生産方法に関する審査が先に終わっていたから短期間で承認されたのだろう。

肺癌の申請は元々は第二相三次治療試験をエビデンスとするものだったが、昨年12月に第三相二次治療試験が中間解析で成功、同月中にFDAに報告され、二次治療薬としての承認に繋がった。この試験成功が発表されたのは1月18日なので、1ヶ月のタイムラグがあった。また、BMSはローリング承認申請が完了した12月ではなく受理されPDUFA審査期限が伝達された2月に公表したため、2ヶ月のタイムラグが生じた。

さて、承認されたレーベルによると、第三相二次治療docetaxel対照試験の中間解析でメジアン生存期間が9.2ヶ月とdocetaxel群の6.0ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.59、95%信頼区間は0.44~0.79だった。流石にこの試験に関する情報量は限られており、投与期間の実績や減量・離脱データ、有害事象に関する情報は記されていない。FDAは治験の最終報告書を提出するよう求めており、現段階では公表は早いと思っているのだろう。

OpdivoはTセルの抑制刺激受容体であるPD-1に結合して腫瘍細胞がレガンドを発現しTセルの増殖やサイトカイン放出を抑制するのを妨げる。作用機序から考えると応答性がPD-1やレガンドの発現状況と関連する可能性があり、この第三相試験でも評価項目の一つになっている筈だが、レーベルには言及されていない。おそらく、低発現症例でも無効ではなかったのだろう。

第二相三次治療単群試験ではメジアン生存期間が8.2ヶ月と、二次治療試験と同様な結果になった。グレード3以上の薬物関連有害事象の発生率は17%、有害事象による治験離脱12%、深刻な有害事象としては免疫調停性の肺炎、間質性肺疾患、大腸や肝臓、腎臓、ホルモン分泌腺の疾患が見られた。日本はEGFR阻害剤で間質性肺疾患が他の国より多く発生しているので、気を付けるべきだろう。

ライバルのMSDはKeytruda(pembrolizumab)を年央に非小細胞性肺癌二次治療薬として適応拡大申請する見込み。3ヶ月で承認されたとしてもBMSから半年遅れることになる。未承認でもASCOでデータを発表できれば普及し始めるが、タイミング的に間に合うとは思えず、間に合ったとしても承認されている薬があるのに敢えてKeytrudaを使う医師は少ないだろう。

但し、Opdivoが承認されているのは非小細胞性肺癌の25~30%を占める扁平上皮腫だけなので、全面的な競争が始まるのはKeytrudaの適応拡大が承認され、Opdivoのそれ以外のタイプを組入れた二次治療試験の結果が出てからだろう。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:BMSのプレスリリース

米国初のバイオシミラーが承認

(2015年3月6日発表)

FDAは、ノバルティスのサンド部門が承認申請していた遺伝子組換え型G-CSF製品、ZarxioをアムジェンのNeupogen(filgrastim)のバイオシミラーとして承認したと発表した。米国は利害関係者の政治力が強くバイオシミラーの承認基準・法制が固まるまで時間が掛かったため、今回が初めての承認になる。

法制上は二種類のバイオシミラーが想定されているが、ZarxioはNeupogenと互換とは認定されていないので、小分子薬のジェネリックとは異なり、処方箋にNeupogenと記されていたらZarxioで代替することはできない。米国では既に複数のG-CSF製品が販売されているが大きな売上にはなっておらず、Zarxioも当初はゆっくりとしか普及しないだろう。複数の薬のバイオシミラーが承認されている欧州と同様に、医師は、誰かに先に使ってもらって感想を聞いてから使う、After youスタンスを取るだろう。

アムジェンは02年に持効性のNeulasta(pegfilgrastim)を発売、既に需要をシフトさせているが、カナダのApotex社が昨年12月にバイオシミラーの承認申請を行っており、こちらのほうが主戦場になりそうだ。

尚、FDAはZarxioの一般名をfilgrastim-sndzと表記しているが、このEUや日本と類似した表記を正式に決定した訳でなく、便宜的表記である由。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:サンドのプレスリリース

セルジーン、EUでアブラキサンが適応拡大

(2015年3月2日発表)

セルジーン(Nasdaq:CELG)は、Abraxane(アルブミン結合paclitaxel、和名アブラキサン)がEUで非小細胞性肺癌の一次治療薬として承認されたと発表した。carboplatinと併用する。承認のエビデンスとなったpaclitaxel対照試験では、ORR(客観的反応率)が33%とpaclitaxel群を有意に上回った。

リンク:セルジーンのプレスリリース

今週は以上です。

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2015年3月1日

海外医薬ニュース2015年3月1日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • CROI:アビガンのエボラ試験データ
  • エーザイ、ハラヴェンの適応拡大試験が成功
  • アムジェン、AMG 416の直接比較試験が成功
  • イーライリリー、PEG化ヒューマログの開発遅延
  • BMS、オプジーボを米国で肺癌に適応拡大申請
  • CHMPがノバルティスの新薬などに肯定的意見
  • ノバルティスのHDAC阻害剤が逆転承認
  • アクタビスのベータラクタマーゼ配合剤が米国で承認
  • 新規MAO-B阻害剤がEUで承認
  • アイリーア、EUでBRVOが承認


【今週の話題】


CROI:アビガンのエボラ試験データ

(2015年2月25日発表)

favipiravir(富山化学のインフルエンザ治療薬、アビガンの一般名)のエボラウイルス疾患試験の中間解析データがCROI(レトロウイルス及び日和見感染会議)で発表された。高ウイルス量、高血中クレアチニン値の患者に対する効果は見られないが、中低ウイルス量の患者の死亡リスクを半減できる可能性が示唆された。今後は、高ウイルス量の患者には他の薬との併用が検討されることになるのではないか。

この第二相試験はMSF(国境なき医師団)とALIMA(Alliance for International Medical Action)のギニアの施設で実施されたもの。favipiravirの用法は、成人の場合、初日は6000mgを3回に分けて投与、その後は1200mgを一日二回、全部で10日間投与した(日本でインフルエンザに承認されている用量の2~3倍を倍の期間投与)。主評価項目は14日死亡率。対照群はこれらの二施設で昨年9月15日から12月14日までに治療を受けた患者。

今年1月にデータ監視委員会が成人青少年69人のデータを発表するよう推奨、CROIでの発表に至った。エンバーゴ(報道規制)が掛かっていたのか、事前にリークしたのは一部の報道機関だけで、筆者の知る限り日本では報道されなかった。

まず、全69例の死亡率は48%で、ヒストリカル・コントロールの57%と有意な差は無かった。しかし、ベースライン時点でCt値が20以上であった39例では15%対30%と半減した。p値は0.05なので有意性はあまり高くない。このサブグループはCt値が4日後にメジアンで12.3上昇した。一方、20未満の28例の死亡率は93%対85%と有意差は無かった。

Ct値はPCRでウイルスを増幅する時に、閾値に達するまでの増幅回数を示すらしい。Ct値20はウイルス量が1億コピー/mlに相当、Ct値の12.3上昇はウイルス量でいえば4log10の減少に相当する由。尚、被験者のCt値のメジアンは20なので、この閾値はデータマイニングで選んだものではなさそうだ。

抗ウイルス剤は高ウイルス量患者には効き難いものなので、今回の結果は納得のいくものだ。Ct20以上の患者を更に25未満と25以上に分けた解析でも前者は死亡率25%対37%、後者は0%対20%と、対照群の死亡率も薬の効き具合もウイルス量に相関している。

高ウイルス量の患者のケアが未解決だが、もしウイルス量の違いが発症から診断を受けるまでの時間の違いだとしたら、有望な治療法が現れれば患者が早く受入施設に向かうようになるだろうから、より多くの患者を救うことができるだろう。

MSF・ALIMAは引き続き試験が必要と考えている模様。

注記:ALIMAのサイトにアクセスしようとしたところウイルスバスターの警告が出たため止めました。

リンク:Sissokoらの抄録(CROI 2015)

【新薬開発】


エーザイ、ハラヴェンの適応拡大試験が成功

(2015年2月25日発表)

エーザイは、ハラヴェン(海外ではHalaven、一般名eribulin)の第三相軟部肉腫三次治療試験が成功したと発表した。データは学会で発表される模様。15年度上期に日米欧で適応拡大申請する計画。

ハラヴェンは転移性乳癌の三次治療などに承認されている。今回の試験は、anthracyclineを含む二次の治療を既に受け最終治療に抵抗性だった患者を組入れて、乳癌と同じ1.4mg/m2を21日サイクルで第1日と第8日にボラス点滴する群と、dacarbazineを投与する群に無作為化割付して、延命効果を比較したもの。

リンク:エーザイのプレスリリース(和文)

アムジェン、AMG 416の直接比較試験が成功

(2015年2月25日発表)

アムジェンは、AMG 416の第三相cinacalset対照試験が成功したと発表した。慢性腎疾患透析期の二次性副甲状腺機能亢進症を治療する試験で、副甲状腺ホルモン削減奏効率が非劣性だった。

この疾患は透析期の患者の多くが合併する。腎機能低下に対応するために副甲状腺ホルモンの分泌が増えてカルシウムやリンのバランスを正常に維持できるようにするが、やがて分泌過剰になり高カルシウム血症、高リン血症を発症するようになる。cinacalsetはカルシウム受容体を作動する経口剤で、欧米ではアムジェンがSensipar名で、日本では協和発酵キリンがレグパラ名で販売している。

AMG 416はカルシウム感受受容体を作動する静注用薬で、日本では小野薬品がONO-5163として第三相試験中。アムジェンのプレスリリースを読むと、効果はcinacalsetと同程度で評価項目によっては優れている面もあるようだが、忍容性のデータはやや気がかりだ。治療時発現有害事象では症候性カルシウム血症の発生率が5%とcinacalset群の2.3%を上回り、心不全も3%対0.6%と多い。深刻有害事象は25.1%対27.3%でやや低かったが致死的有害事象は2.7%対1.8%でやや多い。

リンク:アムジェンのプレスリリース

イーライリリー、PEG化ヒューマログの開発遅延

(2015年2月23日発表)

イーライリリーはLY2605541(peglispro)の承認申請が2016年より後に遅れる見込みであることを明らかにした。当初の見込みでは14年、直近では15年第1四半期に承認申請する計画だった。

lisproは同社の速効性インスリン、Humalog(和名ヒューマログ)の活性成分で、遺伝子組換え型ヒトインスリン。これをPEG化して持効性にしたものがLY2605541で、サノフィのLantusの市場を狙った。

開発遅延の理由は明らかではないが、肝毒性懸念と推測される。2011年に第三相入りしたが、これまでの試験では肝機能検査値異常がLantus群より多く発生し、肝脂肪の増加も見られた。薬物誘導性肝障害リスクを評価する上で一般的に用いられているHyの法則に該当する症例はなかったが、新たに発生したのかもしれない。血糖治療薬では武田のTAK-475(lapaquistat)が08年に肝毒性懸念から開発中止になったことがある。

イーライリリーは糖尿病領域でベーリンガー・インゲルハイムと広範な開発販売提携を行っていて、LY2605541も対象だったが、2年前に単独開発に変更された。提携対象のLantusのバイオシミラーは日米欧で承認取得済み。他社も含めて、シミラーが発売されればLantusやLY2605541の価格も影響を受ける。バイオシミラーは小分子薬のジェネリックよりかなり高いので、特許性新薬開発会社にとってミー・ツー・ドラッグを苦労して開発するよりよっぽど有望な分野だ。

リンク:イーライリリーのプレスリリース

【承認申請】


BMS、オプジーボを米国で肺癌に適応拡大申請

(2015年2月28日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)を再発性扁平上皮非小細胞性肺癌用薬として米国で承認申請し受理されたと発表した。優先審査指定され、審査期限は6月22日。申請の根拠となったCheckMate-063試験は三次治療試験だが、プレスリリースの適応症の箇所には前治療歴のある患者としか記されていないので、二次治療も含んでいるのかもしれない。

同じ抗PD-1抗体ではMSDのKeytruda(pembrolizumab)が悪性黒色腫ではOpdivoより三ヶ月早く承認された。非小細胞性肺癌ではBMSが先に適応拡大申請したがMSDも今年年央に申請する予定。対象患者が若干異なり、MSDは扁平上皮腫以外も含む二次治療薬としての申請と推測される。扁平上皮腫は25~30%を占めるだけなのでKeytrudaの方が3倍多く、また、Keytrudaを二次治療に使った患者は三次治療にOpdivoを使わないだろうから、対象患者の細かな違いが重要な意味を持ちうる。

投与方法も若干異なり、Opdivoは二週間に一回の点滴静注、Keytrudaは三週間に一回。効果が同程度ならKeytrudaの方が便利だ。

リンク:BMSのプレスリリース

【承認審査・委員会】


CHMPがノバルティスの新薬などに肯定的意見

(2015年2月27日発表)

EUの医薬品科学的評価委員会であるCHMPは、2月の会議で以下の新薬・適応拡大に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内のEU全域で承認されることになる。

リンク:CHMPのプレスリリース

まず、ノバルティスのALK阻害剤、Zykadia(ceritinib)。ALK陽性の転移性非小細胞性肺癌で、Xalkori(crizotinib、和名ザーコリ)による治療を既に受けた患者に用いる。第一相試験では反応率56%、反応持続期間はメジアン8ヶ月、第二相では各37%と9ヶ月。深刻な有害事象は肝毒性、胃腸有害事象、QT延長や徐脈、間質性肺疾患や肺炎、高血糖症など。対照試験の裏付けがないため条件付き承認を推奨した。米国では昨年承認。

リンク:CHMPのプレスリリース

リンク:ノバルティスのプレスリリース

次に、大塚製薬のバソプレシン2受容体拮抗剤、Jinarc(tolvaptan)。急速進行性のADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)で腎機能が著しく悪化していないCKDステージ1~3の患者が対象で、嚢胞の進行や腎機能の低下を遅らせる。ADPKDは1万人に4人の希少疾患で、腎臓などに嚢胞ができ進行すると透析が必要になる。ADPKD治療薬として承認されれば初。臨床試験では腎臓量の増加やeGFRの悪化を抑制した。

この活性成分は抗利尿ホルモン不適合分泌症候群による低ナトリウム血症の治療薬、Samsca(和名サムスカ)として承認されているが、ADPKDは用量が数倍多いため、肝毒性が高まる。治験では深刻な肝障害が2.3%と偽薬の1.0%より高い頻度で発生した。このため、治療開始前と治療中定期的に肝機能検査を行う必要がある。

リンク:CHMPのプレスリリース

サノフィのToujeo(insulin glardine)は、同じ活性成分のLantusの新製剤で、mL当り100単位ではなく300単位含有。生物学的同等性は無く、Lantusからスイッチする時は用量を10~18%増やす必要がある。米国と異なり、低血糖のリスクがLantusより低いことが認められた。米国は先週承認(後述)。日本でも審査中。Lantusはバイオシミラーの発売が迫っているので重要な新製品。

リンク:CHMPのプレスリリース

リンク:サノフィのプレスリリース(pdfファイル)

適応拡大では、ロシュのAvastin(bevacizumab)を難治性転移性子宮頸癌に用いることが支持された。paclitaxelとcisplatinまたはtopotecanの二剤と併用する。臨床試験ではメジアン生存期間が16.8ヶ月と二剤だけの12.9ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.74だった。子宮頸癌予防用ワクチンは配合されている株のヒトパピローマウイルスによる悪性腫瘍は防ぐがそれ以外の株には弱いので依然として治療薬が必要だ。

リンク:ロシュのプレスリリース

意外だったのは、キサンチンオキシダーゼ阻害剤Adenuric(febuxostat、米国名Uloric、和名フェブリク)の新用途。痛風治療薬として承認されているが、CHMPが今回承認を認めた用途は、血液癌で化学療法を受ける、TLS(腫瘍崩壊症候群)のリスクが中高程度の患者の高尿酸血症の予防と治療。尿酸値を下げる薬なので効くのは当然だが、きちんと承認を取得しようとしていることは好感が持てる。febuxostatは帝人が創製、北米などでは武田薬品が、欧州ではメラリーニが販売している。

リンク:CHMPのプレスリリース

アムジェンのVectibix(panitumumab)をFOLFIRIレジメンと併用で一次治療に用いることも支持された。抗EGFR抗体で、野生RAS型の転移性結腸直腸癌に承認されているが、これまでは一次治療はFOLFOX併用だけだった。

FOLFIRIとFOLFOXはどちらもfluorouracilとleucovorinの二剤をベースとするレジメンで、前者はirinotecan、後者はoxaliplatinも併用する。 irinotecanを含む三剤はIFLというレジメンもあるが用量や投与スケジュールが異なり、今日ではFOLFIRIの方が効果が高いと考えられている。

リンク:アムジェンのプレスリリース

一方、Rienso(ferumoxytol、米名Feraheme)の対象患者拡大申請を撤回したことが発表された。慢性腎疾患患者の鉄欠乏性貧血症の治療薬として欧米で承認されている静注用鉄製剤。今回は慢性腎疾患以外に対象を広げるべくライセンサーであるAMAG(Nasdaq:AMAG)が米国で、欧州などの権利を持つ武田が欧州で申請したが、市販後に致死的な過敏反応が報告されるようになったことから、FDAは承認しなかった。武田は既に権利返還を決めている。

リンク:CHMPのプレスリリース

【承認】


ノバルティスのHDAC阻害剤が逆転承認

(2015年2月23日発表)

FDAは、ノバルティスのFarydak(panobinostat)を多発骨髄腫用薬として加速承認したと発表した。昨年11月の諮問委員会では7人の委員のうち5人が承認に反対し、前途が危ぶまれたが、諮問委員会で討議された二次治療ではなく標準治療薬二剤を既に使ってしまった患者の三次治療薬として承認された。昨年12月に米国で承認されたサノフィのPARP阻害剤、Lynparza(olaparib)と同じパターンだ。米国は承認申請の途中で申請内容を変更できるため、このような逆転が起こりうる。

Farydakはヒストン脱アセチル化酵素を阻害、遺伝子の構造が緩んで転写されやすい状態になるのを間接的に助ける。同様な作用機序を持つ薬が末梢Tセルリンパ腫などに承認されているが、多発骨髄腫では初めて。

Velcade(bortezomib)及びdexamethasoneと三剤併用した第三相二次治療試験でPFS(無進行生存期間)を延長する効果が認められたが、全生存期間は大差なかった。投与中に7%の患者が癌以外の理由で死亡したことが影響したのかもしれない(二剤だけを用いた対照群では3.5%)。有害事象による治験離脱や深刻な有害事象も増加した。

今回の承認は、Velcade及びRevlimid(lenalidomide)やThalomid(thalidomide)のような免疫調停薬による前治療を既に受けた患者のサブグループ分析に基づくもので、PFSは10.6ヶ月対5.8ヶ月、客観的反応率は59%対41%となっている。重度な下痢と重度で致死的な心毒性が枠付警告された。Farydakは日本でも承認審査中。

リンク:FDAのリリース

リンク:ノバルティスのプレスリリース

アクタビスのベータラクタマーゼ配合剤が米国で承認

(2015年2月25日発表)

FDAは、アクタビス(NYSE:ACT)のAvycaz(ceftazidime-avibactam)を複雑腹腔内感染症と複雑尿道感染症(腎盂腎炎を含む)の治療薬として承認した。他の治療オプションが限られている時に用いる。承認されている第三世代セファロスポリンであるceftazidime(和名モダシン)とベータラクタムとは異なった構造を持つベータラクタマーゼ阻害剤であるavibactamの合剤。

感染症治療薬の開発インセンティブであるQIDP指定を受けているため優先審査され、承認後は5年間の排他権を得る。北米日本はアクタビス、それ以外はアストラゼネカが権利を持っている。

リンク:FDAのリリース



サノフィのToujeoが米国で承認

(2015年2月26日発表)

FDAはサノフィの持効性インスリン、Toujeo(insulin glargine)を承認したと発表した。上述のようにLantusの高濃度版で、mL当り300単位と3倍を含有している。臨床試験では血糖管理効果がLantusと非劣性で、低血糖は少なかった。ところが、米国のレーベルにはLantusより低血糖リスクが小さいとは記されていない。米国市場における販促はレーベルに即して行わなければならないので、最大のセールスポイントを語ることができないことになる。

理由は明らかではないが、上記のCHMPのリリースによるとToujeoとLantusは生物学的に同等ではない由であり、Lantusからスイッチする場合は10~18%増やす必要がある。臨床試験でこのことが徹底されなかったのかもしれない。

リンク:サノフィのプレスリリース(pdfファイル)

新規MAO-B阻害剤がEUで承認

(2015年2月26日発表)

Newron Pharmaceuticals(SIX:NWRN)とイタリアのZambon社は、Xadago(safinamide)が特発性パーキンソン病のアドオン薬としてEUで承認されたと発表した。中程度以上進行した患者でlevodopaベースの治療だけでは足りない場合に追加投与する。

テバ/ルンドベックのAzilect(rasagiline)と同様なMAO-B阻害剤で、levodopaの代謝を遅らせる。Azilectは単剤投与も承認されているが、Xadagoは併用だけ。Newronは06年にセラーノにライセンスアウトしたが第三相の成績が今一つであったため権利返還となった。追加試験を行いZambonと提携して欧米で承認申請したが、米国は書類の不備などが原因で受理されなかった。日本はMeiji Seikaファルマがライセンス。

リンク:Zambonのプレスリリース

アイリーア、EUでBRVOが承認

(2015年2月26日発表)

バイエルは、Eylea(aflibercept、和名アイリーア)をBRVO(網膜静脈分岐閉塞症)による黄斑浮腫の治療に用いることがEUで承認されたと発表した。これまでに、加齢性滲出型黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、CRVO(網膜中心静脈閉塞症)による黄斑浮腫に承認されている。

リンク:バイエルのプレスリリース

今週は以上です。

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