2014年7月13日

海外医薬ニュース2014年7月13日号




【ニュース・ヘッドライン】




  • デング熱ワクチンの第三相が成功
  • BMS、オプジーボを黒色腫にも承認申請へ
  • アステラス、真菌症薬を承認申請
  • 爪真菌症治療薬が米国で承認


【新薬開発】


デング熱ワクチンの第三相が成功

(2014年7月11日発表)

デング熱ワクチンの第三相試験論文がLancet誌でオンライン刊行された。ワクチン効率56%とリーズナブルな効果を示し、デング熱ワクチンの実用化に向けて一歩前進した。

サノフィが08年にAcambis社を買収して入手した開発品で、弱毒化黄熱病ウイルスの遺伝子に4種類の血清型のデングウイルス抗原を導入したもの。今回の第三相試験はフィリピンなどASEAN5ヶ国で2~14歳の10275人を組入れ、ワクチン群と偽薬群に2対1割付して6ヶ月毎に3回接種し、2年超追跡した。

結果は、3回接種が終了して28日経った後のデング熱発症率が偽薬群は年率4.7%と事前の予想より高かったのに対してワクチン群は1.8%に留まり、ワクチン効率(相対リスク削減率)は56.5%だった。血清型や国により異なり、3型4型はリスクを75%削減したが2型は35%、1型は50%だった。また、マレーシアでは79%削減したがフィリピン、ベトナム、インドネシア、タイでは51~54%だった。年齢別でも12~14歳では74%削減したが6~11歳は59%、2~5歳は33%と若いほど効果は低下した。

1万人中28人がデング熱の重篤な合併症であるデング出血熱を発症したが、うち20人は偽薬群で、予防効果は88.5%だった。

ラテンアメリカでも9~16歳の2万人を組入れた第三相が進行中で15年中に結果が出る予定。

デング熱は熱帯・亜熱帯地域に多く日本脳炎と同様に蚊が媒介する。年間に50万人が入院すると言われており、アジアやラテンアメリカの住人及び渡航者には重要な脅威になる。WHOは2020年までに死亡者を50%、感染者を25%削減する目標を立てており、サノフィのワクチンは重要なツールになるだろう。

リンク:Capedingら(Lancet、オープンアクセス)

リンク:サノフィのプレスリリース(pdfファイル)

BMS、オプジーボを黒色腫にも承認申請へ

(2014年7月10日発表)

BMSは、小野薬品からライセンスした抗PD-1抗体Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)を9月までに黒色腫用薬として米国で承認申請する計画であることを発表した。Yervoy(ipilimumab)などによる治療を受け再発した患者を組入れたCheckMate-037試験の結果に基づいて申請することをFDAが首肯した模様だ。

ClinicalTrials.govの治験登録には15年5月に薬効解析データ収集と記されているので、おそらく、共同主評価項目の一つである反応率のデータで加速承認を取り、全生存期間の解析が成功した段階で本承認を取る考えなのだろう。

抗PD-1抗体ではMSDがMK-3475(pembrolizumab)を同じ用途で第二相試験の反応率データに基づき承認申請、10月にも承認される見込み。その前にBMSが承認申請すれば優先審査指定される可能性が高く、半年遅れ程度で発売できる可能性がある。扁平上皮非小細胞性肺癌でも年内にローリング承認申請を完了する計画なので、来年末には適応症面でMSDより一歩先行することができるだろう。

Opdivoの弱点は、前回も書いたように、点滴静注頻度が二週間に一回であること。医師と患者の手間とコストを考えればMK-3475のほうが使いやすい。黒色腫はYervoyを始め三週間に一回投与するものが多いので、将来、併用療法が実用化された場合はもっと不利になる。BMSは三週間に一回投与群も設けてYervoy併用試験(CheckMate-067試験)を実施中なので、首尾が注目される。

リンク:BMSのプレスリリース

【承認申請】


アステラス、真菌症薬を承認申請

(2014年7月9日発表)

スイスのBasilea社は、導出先のアステラス製薬が米国でBAL8557/ASP9766(isavuconazonium sulfate)を承認申請したと発表した。アゾール系の抗真菌薬で侵襲性のアスペルギルス症や接合菌感染症の治療に用いる。第三相試験では、42日全死亡率が18.6%とvoriconazole群の20.2%と比べて非劣性だった。静注用と経口剤の二種類が用意されている。感染症薬認定(QIDP)を受けているので、優先審査の対象になり承認後は5年間の特許期間補填が受けられる。

リンク:Basileaのプレスリリース

リンク:アステラスのプレスリリース(和文)

【承認】


爪真菌症治療薬が米国で承認

(2014年7月8日発表)

カリフォルニアの感染症治療薬開発会社であるAnacor Pharmaceuticals(Nasdaq:ANAC)は、Kerydin(tavaborole)外用液がFDAに承認されたと発表した。爪甲真菌症の治療薬で、oxaborole系のファースト・イン・クラス。二本の臨床試験では完全治癒率が各6%と9%で、偽薬群の1%前後より高かった。既にジェネリック化した既存の局所性製剤や経口剤と比べて効果が特に高い訳ではないので需要は限定的か。

リンク:Anacorのプレスリリース

今週は以上です。

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