2017年9月24日

2017年9月24日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • hATTRアミロイドーシス治療試験が成功 
  • bcl-2阻害剤のリツキサン併用試験が成功 
  • プレウロムチリン系抗生剤の最初の第三相が成功 
  • FDA諮問委員会、スーテントの適応拡大に意見分かれる 
  • JNJの抗IL-6抗体はFDA審査完了 
  • オプジーボ、米国は肝細胞腫を承認 
  • EUでバベンチオなどが承認 
  • Ocalivaは適正使用されていない? 


【新薬開発】


hATTRアミロイドーシス治療試験が成功
(2017年9月20日発表)

Alnylam Pharmaceuticals(Nasdaq: ALNY)は、ALN-TTR02(patisiran)の第三相遺伝性ATTRアミロイドーシス試験が成功したと発表した。年内の米国を皮切りに世界で承認申請する予定。サノフィ・グループのジェンザイムが販売権を持つ日本の施設も第三相に参加しており、18年に承認申請予定。

AlnylamはsiRNA技術を元に遺伝子疾患の治療薬などを開発している。他の開発品で副作用が表面化し、patisiranの第三相試験のデータ監視委員会が続行の当否を検討するなど、心配な話が続いただけに、一安心だ。

この試験はポリニューロパチーを合併する患者225人を、試験薬群(0.3mg/kgを3週毎に70分点滴)と偽薬群に2対1割付してニューロパチー改善効果を検討した。主評価項目である18ヶ月間のmNISの変化でも主要な副次的項目であるQOL指標でも有意差が見られ、試験薬群は指標が改善した。データは未発表。

深刻有害事象発生率は36.5%で偽薬群の40.3%より低く、死亡率は4.7%対7.8%、有害事象による治験離脱も4.7%対14.3%と良好だった。病気の症状に関連する有害事象が少なかったのだろう。できすぎのような感じもするが...

リンク: Alnylamのプレスリリース

bcl-2阻害剤のリツキサン併用試験が成功
(2017年9月18日発表)

ロシュは、Venclexta(venetoclax、欧州名Venclyxto)の第三相再発性難治性CLL(慢性リンパ性白血病)試験が成功したと発表したRituxan併用で、PFS(無進行生存期間)を標準療法の一つであるRituxan(rituximab、和名リツキサン)とTreanda(bendamustine、和名トレアキシン)の併用と比較したところ、有意に上回った。データは未発表。

16年に欧米でCLL用薬として承認されたが、適応は17p欠損型など一部に限られていた。今回の用法が承認されれば市場が拡大する。

Venclextaは、CLLで過剰発現するアポトーシス抵抗性に係る酵素、bcl-2を阻害する。深刻有害事象は肺炎、熱性好中球減少症、自己免疫性溶血性貧血、腫瘍壊死症候群などで、少なくとも初回投与時は入院してモニターする必要がある。ロシュ・グループのジェネンテックとアッヴィの共同開発で、米国はこの二社が共同販売、海外はアッヴィが販売する。

リンク: ロシュのプレスリリース

プレウロムチリン系抗生剤の最初の第三相が成功
(2017年9月18日発表)

Nabriva Therapeutics(Nasdaq:NBRV)は、BC-3781(lefamulin)の第三相市中細菌性肺炎試験が成功したと発表した。最初は静注用製剤、数日後に経口投与製剤にスイッチ可、という用法で、効果をmoxifloxacin(最初は静注、経口剤にスイッチ可、MRSA疑い例はlinezolidを追加)と比較したところ、奏効率が若干下回ったものの95%下限が閾値を上回り、非劣性解析が成功した。

抗生剤の薬効評価基準は米国とEUで異なるため本試験は両方解析した。米国基準であるECR(早期臨床的反応率)は87.3%対90.2%で2.9%下回ったが、95%下限は-8.5%となり非劣性マージンの-12.5%をクリアした。EU基準のCE-TOC(治療終了数日後の臨床的反応率)も点推定値が2~3%下回ったが95%下限は-8%強で非劣性マージンの-10%を上回った。

治療時発現有害事象は各群38%程度、治療時発現有害事象による治験離脱は2.9%対4.4%、死亡率は2.2%対1.8%で両群大差なかった。

もう一本、静注用製剤だけの第三相試験の結果が18年第1四半期に出た後で、承認申請する考え。

リンク: Nabrivaのプレスリリース


【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、スーテントの適応拡大に意見分かれる
(2017年9月19日発表)

FDA腫瘍学薬諮問委員会がファイザーのSutent(sunitinib、和名スーテント)の適応拡大申請を検討した。腎細胞腫の摘出術を受けたが再発リスクが高い患者にアジュバント療法を施行して再発・死亡リスクを削減するもので、臨床試験は成功したが、諮問委員会の評価は賛成6人、反対6人と真っ二つに分かれた。

Sutentは末期腎細胞腫などに用いるVEGFR阻害剤。腎摘出術後アジュバント試験は北米の施設でSutentとバイエルのNexavar(sunitinib)をテストしたASSURE試験が中間解析で無益判定となった。受容体ではなくVEGFを標的とするロシュのAvastin(bavacizumab)も余命の長い疾患の試験が今一つだったので、アジュバントには適さないのかと思っていたが、Sutentを偽薬と比較したS-TRAC試験が成功した。

一日50mgを4週間服用して2週間休むスケジュールで1年間施行したところ、DFS(無病生存期間)がメジアン6.8年と偽薬群の5.6年を上回り、ハザードレシオは0.76、95%信頼区間0.59~0.97、p=0.03となった。5年無病生存率は59%対51%で、最低限望まれる治療効果の目安である10%に近い差が出ている。

全生存期間は元々十分な検出力がなく、現状ではイベント数が少ないために、ハザードレシオ0.92、95%信頼区間0.66~1.28、5年生存率81.4%対81.9%と、効くのか効かないのか分からない。

有害事象による永続的中止率は28%、原因は手掌足底発赤知覚不全症候群や高血圧など。偽薬群は5%だった。G3/4有害事象発生率は各60%と15%だった。

この試験の論点は、第一に、病状の放射線学的評価は腎細胞腫でも余命とリンクするか。他の癌とは異なり腎細胞腫では評価方法が確立していない模様だ。本試験の再発判定は殆どが放射線学的評価だった。全生存の解析結果と食い違ったのは、放射線学的評価手法が妥当ではないことを示しているのかもしれない。

第二に、エビデンスの頑強性。95%上限やp値は閾値とそれほど乖離しておらず、ボーダーライン上と言えなくもない。もう一本の試験はフェールしたのだから、真の治療効果はASSURE試験とS-TRAC試験の中間程度と考えるべきかもしれない。

第三は、副作用。高リスクとは言え今現在は完治し今後も再発しないかもしれない人に副作用の苦しみを与えるのはいかがなものか、First, Do not halmという意見だ。延命効果がないなら再発してから使っても遅くないかもしれない。

難しい問題だが、サブグループ分析で再発リスクが著しく高い人たちにも有効であったことが確認できるならば、適応拡大を承認して個々の患者に対する採否は医師に委ねるという方法もあるだろう。

リンク: ファイザーのプレスリリース

JNJの抗IL-6抗体はFDA審査完了
(2017年9月22日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、CNTO 136(sirukumab)を中重度活性期リウマチ性関節炎の治療薬として日米欧で承認申請していたが、米国に関しては審査完了通知を受領した。安全性に関する臨床データが不十分と判定されたようだ。

8月の関節炎諮問委員会でも13人の委員のうち12人が反対した。死亡リスクや心血管イベント、感染症、腫瘍などが高まる傾向が見られたからだ。ノイズに過ぎないかもしれないが、CNTO 136のIL-6と少し違うがIL-6受容体を標的とする抗体医薬(ロシュのActemra)が既に存在するので、承認を急ぐ必要はないと考えたのだろう。

CNTO 136は11年にグラクソ・スミスクラインが共同開発販売提携を結んだが、今年7月に権利返還を決定した。

リンク: JNJのプレスリリース


【承認】


オプジーボ、米国は肝細胞腫を承認
(2017年9月22日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab)を肝細胞腫の二次治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。EUはCHMPが難色を示し申請撤回となったが、FDAは第二相試験の反応率データに基づいて加速承認した。バイエルのNexavar(sorafenib)による治療歴を持つ患者が適応になる。PD-L1の発現状況は不問。治験での反応率は14%だった。

臨床試験では3mg/kgを二週間毎に投与したが、承認された用量は240mgを3時間点滴静注で二週間毎に変わっている。バイアルは100mgと40mgなので複雑だが、例えば60kgの患者は使用量が増えることになる。

米国で承認されている用量用法を整理すると、多発骨髄腫にYervoyと併用する場合は3mg/kgを三週間毎、但し4回投与後の単剤維持療法は240mgを二週間毎。古典的ホジキン型リンパ腫や頭頚部扁平上皮腫は3mgを二週間毎。それ以外の、黒色腫、非小細胞性肺癌、腎細胞腫、肝細胞腫、尿路上皮細胞腫、そしてマイクロサテライト不安定性高/ミスマッチ修復不全結腸直腸癌は240mgを二週間毎と、覚えるのが大変だ。

リンク: BMSのプレスリリース

EUでバベンチオなどが承認
(2017年9月21日発表)

7月にCHMPが肯定的意見を纏めた新薬や適応拡大が、続々と承認された。

ドイツのメルクのBavencio(avelumab、和名バベンチオ)はPD-L1を標的とする完全ヒト化抗体で、転移性メルケル細胞腫という欧州で年に2500人が発症する希少疾患に用いる。PD-L1発現状況は不問、一次治療に用いることも可。ニッチだが他社がまだ手掛けていない疾患をリードインディケーションとすることで開発リードタイムを縮小、欧州に関してはロシュの抗PD-L1抗体であるTecentriq(atezolizumab)と同じタイミングで承認されたので、狙いが的中したと言えるだろう。

メルケル細胞腫は進行の早い皮膚癌で5年生存率は20%以下といわれる。臨床試験では二次治療の総合反応率が33%、一次治療は62%だった。米国では今年3月に承認。日本でも今月、第二部会を通過した。米国では再発性難治性尿路上皮細胞腫にも承認されている。ファイザーと開発販売提携。

リンク: ファイザーのプレスリリース(9/21付)

ノバルティスのRydapt(midostaurin)はFLT3阻害剤。適応は、FLT3変異陽性急性骨髄性白血病、侵襲性または血液学的新生物を伴う全身性肥満細胞症、そして肥満細胞白血病。cytarabine及びdaunorubicinと併用したmFLT3+急性骨髄性白血病試験ではメジアン生存期間が74.7ヶ月と偽薬群の25.6ヶ月を大きく上回り、ハザードレシオは0.77(95%信頼区間0.63~0.95)だった。

リンク: ノバルティスのプレスリリース(9/20付け)

ロシュは三件、承認された。Tecentriq(atezolizumab)はEU初承認。局所進行性/転移性の膀胱癌の二次治療(cisplatin不適は一次治療も可)と非小細胞性肺癌の化学療法後再発治療(ALKまたはEGFRに活性化変異のある患者はALK阻害剤またはEGFR阻害剤治療歴も必要)に用いる。米国で16年5月から17年4月にかけて三段階で取得した適応を一気にキャッチアップした。

リンク: ロシュのプレスリリース(9/22付け)

Gazyva(obinutuzumab)を濾胞性リンパ腫の導入療法・維持療法に用いる適応拡大も承認された。臨床試験ではPFS(無進行生存期間)のハザードレシオが0.71とMabThera(rituximabの欧州での製品名)より有意に優れていた。

MabTheraと同じ抗CD20抗体だがマウス由来のアミノ酸が少なく、翻訳後装飾でフコースが付与されていないので抗体依存的細胞毒性が高い。既存の適応は、慢性リンパ性白血病でfludarabineが適さない患者の一次治療と、濾胞性リンパ腫の再発治療(bendamustine併用)。

リンク: ロシュのプレスリリース(9/22付け)

RoActemra(tocilizumab、和名アクテムラ)を巨細胞性動脈炎の治療に用いることも承認された。米国では5月に承認。日本ではアジアや中近東に多い高安動脈炎と合わせて8月に承認。

抗IL-6受容体ヒト化抗体で、最近の話題は、CAR-Tと呼ばれる画期的な自家T細胞療法の副作用でサイトカイン放出症候群が発生した時の標準的治療法になっている。

リンク: ロシュのプレスリリース(9/22付け)

最後に、Lexicon Pharmaceuticals(Nasdaq:LXRX)のXermelo(telotristat ethyl)はカルチノイド症候群の治療薬。消化器官系神経内分泌腫瘍の合併症でセロトニンの過剰分泌により下痢などを発症する。Xermeloはセロトニン調律酵素であるTPH(トリプトファン水酸化酵素)1/2阻害剤で下痢を改善する。北米や日本以外ではイプセンが販売する。

リンク: Lexiconのプレスリリース(9/19付け)


【医薬品の安全性】


Ocalivaは適正使用されていない?
(2017年9月21日発表)

先週号のIntercept Pharmaceuticals(Nasdaq:ICPT)のドクターレターに関する記事で、PBC(原発性胆汁性肝硬変)治療薬Ocaliva(obeticholic acid)の過剰投与副作用は病気が進行して肝機能が低下したことに気付く、あるいは、対処する前に発生してしまったのではないかと推測したが、性善説すぎたようだ。FDAが安全性情報を発出し、ある程度の症例情報を公表した。治療開始時点で既に中度以上の肝機能障害であったのに通常のスケジュール通りに投与した症例が少なくないようで、医療ミスが疑われる。

FDAによると、市販後の13ヶ月間に19人の死亡例が有害事象報告システムに報告された。死因が報告されている8例は病状悪化やCVDが原因とされているが、うち7例は中重度肝機能低下にも係わらず毎日5mgを服用していた。正しくは、5mgを週一回で開始して反応が不十分なら週二回、それでも不十分なら10mg週二回まで増量可、であり、この7人は倍量投与されたことになる。

深刻な肝臓障害は11例報告されており、うち6例はベースライン時点で中重度肝機能障害だったが、毎日5mg服用中に重度肝障害を発症し、3名が死亡した(上記19例に含む)。

発売以来、毎月一人以上が死亡しているというのは酷い話だ。対応をメーカーと協議中とのことなので、枠付き警告やREMS(リスク評価緩和戦略)を導入する考えかもしれない。

Ocalivaの用途で最も期待されているのはNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)だ。第三相試験中で、用量は一日10mgと25mgをテストしている。PBCでの標準用量(一日5mgで開始して10mgまで増量可)の倍以上なので、中重度肝機能低下以外の人でも肝毒性が高いかもしれない。PBC用途で適正使用を徹底させないと、NASH適応拡大も難しくなる。

Ocalivaは日本では大日本住友製薬がインライセンス、NASHの第二相試験はフェールしたが効果は概ね用量依存的だった由。この試験では10mg、20mg、40mgをテストした。

リンク: FDAの安全性情報




今週は以上です。

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2017年9月18日

2017年9月18日


【ニュース・ヘッドライン】

  • 死ね、デニース 
  • 抗IL-4Rアルファ抗体は喘息症にもある程度の効果 
  • ヌーカラはCOPDにもある程度の効果 
  • ビデュリオンは心血管リスクを高めない 
  • イクスタンジ、非転移性去勢抵抗性前立腺癌試験が成功 
  • アッヴィのJAK阻害剤もリウマチ試験成功 
  • 黒色腫アジュバント試験のデータ発表 
  • ザイティガを転移性前立腺癌に適応拡大申請 
  • CHMPがPARP阻害剤などの承認を支持
  • FDA諮問委員会がGSKの帯状疱疹ワクチンを支持 
  • バイエルのPI3K阻害剤が米国で承認 
  • Ocalivaのドクターレター 


【今週の話題】


死ね、デニース
(2017年9月11日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、慢性C型肝炎治療薬JNJ-4178の開発を中止すると発表した。Olysio(和名ソブリアード)の活性成分であるNS3/NS4Aプロテアーゼ阻害剤simeprevirとNS5Bポリメラーゼ阻害剤AL-335、そしてNS5A阻害剤ACH-3102(odalasvir)の三剤合剤で後期第二相段階だったが、優れた類薬が既に複数販売されていることや市場の成長が見込み難いことに鑑みたのだろう。今後はB型肝炎治療薬の開発に経営資源をシフトする。

慢性C型肝炎治療薬の研究開発は、米国政府の支援とゲノム技術の進歩に後押しされて、開花。C型肝炎ウイルスのゲノムが解析され、増殖に必要な上記酵素を標的とするDAA(直接作用性抗ウイルス剤)が、2011年承認のtelaprevirを皮切りに、続々と登場した。

近年の三剤配合薬はSVR12(治療終了後12週間経ってもウイルスが検出されない、持続的ウイルス学的奏功率)が90%を超えるものが少なくない。ウイルスはどこかに隠れてしまうことがあり完全に駆除するのは難しいが、C型肝炎の場合はSVR12ニアリーイコール完治と考えられており、大変重要な成果だ。

一方、今から新薬を開発して既存薬の効果を上回るのは容易ではないだろうし、何とか発見しても発売する頃には治療すべき患者が減っている可能性が高い。第二相試験の発表を見聞きする度に、まだやるのかと思っていたが、今回のJNJの発表は、遂にXデイが来たことを意味する。

病気の進行を抑える薬は長く使ってもらえるが、治癒する薬はやがて使われなくなる。製薬業界のジレンマだ。我々第三者としては、成果を正しく評価し称賛することで応えたい。18世紀ロシアの政治家、ポチョームキンは、デニース・フォンヴィージンの風刺劇の初演を見て、こう言った。「死ね、デニース、これ以上のものはもはや書けまい」(アントン・チェーホフ、『犬を連れた奥さん』、神西清訳より)

リンク: JNJのプレスリリース


【新薬開発】


抗IL-4Rアルファ抗体は喘息症にもある程度の効果
(2017年9月11日発表)

リジェネロン(Nasdaq:REGN)とサノフィは、Dupixent(dupilumab)の第三相難治性喘息症試験が成功したと発表した。適応拡大申請する予定。IL-4受容体のアルファサブユニットを標的とする抗体医薬で、IL-4やIL-13をブロックする。今年3月に米国で中重度アトピー性皮膚炎治療薬として承認されたところ。

このLiberty Asthma Quest試験(NCT02414854)は、ICS(吸入コルチコステロイド)を含む二種類のコントローラーを使っても発作を十分に管理できない患者1902人を組入れて、Dupixentを追加する効果を偽薬と比較した。試験薬は200mg群と300mg群が設定された(二週毎の皮注、初回は倍量投与)。

結果は、300mg群の重度喘息発作頻度(年率)が偽薬比46%減少し、FEV1は12週時点で9%、130mLの群間差があった。どちらも統計的に有意で、好酸球が多いサブグループのほうが効果が高かった。この点ではNucala(mepolizumab、和名ヌーカラ)などの抗IL-5抗体と似ている。主な有害事象は注射箇所反応。

200mg群のデータは300mgと概ね同様とのことなので、敢えて300mgを使う必要はないかもしれない。

第三相はこの一本だけ。後期第二相試験の後にFDAと相談の上、一本だけで承認申請することを決めた経緯がある。抗癌剤の第一相試験で組入れが最終的に200例を超えたり、後期第二相と第三相試験の二本を薬効のエビデンスとして承認申請したり、今日では相と実態が噛み合わなくなっている。

難治性喘息症の治療薬では、アムジェンとアストラゼネカが共同開発している抗TSLP(胸腺間質リンパ球増殖因子)抗体、AMG 157/MEDI9929(tezepelumab)の後期第二相試験の結果が先日発表された。喘息発作頻度が6~7割減少と、効果が大変高く注目できる。TSLPは胸腺など上皮細胞が分泌するサイトカインで、IL-4、IL-5、IL-13の川上で機能し、アレルギー性炎症のマスタースイッチとも言われているようだ。データ面でもメカニズム面でも、Dupixentが霞んでしまった。

リンク: 両社のプレスリリース

ヌーカラはCOPDにもある程度の効果
(2017年9月12日発表)

グラクソ・スミスクラインの抗IL-5抗体、Nucala(mepolizumab、和名ヌーカラ)は、重度好酸球性喘息症のアドオン薬として日米欧で承認されている。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の維持療法薬としても開発されており、第三相試験二本の結果がNew England Journal of Medicine誌に刊行された。二連勝ではないが、GSKは承認申請する予定。

METREX試験は、主評価項目の一つである好酸球増多フェノタイプの解析が成功。100mgを4週毎皮注したところ、増悪頻度が年1.40回と偽薬群の1.71回を下回った。率比は0.82、p=0.036で、ギリギリ統計的に有意。しかし、もう一つの主評価項目である全ユニバースの解析は率比0.98でフェールした。一方、好酸球増多だけを組み入れたMETEOは率比0.80、p=0.068とフェール。この試験だけ設定された300mg群も率比0.86、p=0.14に留まった。

METREX試験では好酸球フェノタイプに対する効果が伺われたがMETEO試験では再現されなかったことになる。METEOの100mg群のほうが率比が若干低く、症例数は大差ないのにp値が悪いのは奇妙だが、この二本の試験は多重性の調整手法が異なるので、その影響かもしれない。細かいことを忘れて健全な常識を適用すれば、p値が0.036でも0.068でもボーダーライン上であることに変わりない。効果が解析計画の前提(増悪頻度が30~35%減少)より弱かったのだから、期待外れの結果と言わざるを得ないだろう。

リンク: GSKのプレスリリース

ビデュリオンは心血管リスクを高めない
(2017年9月14日発表)

アストラゼネカが販売する長期作用性GLP-1作用剤、Bydureon(exenatide、和名ビデュリオン)の心血管アウトカム試験の結果がEASD欧州糖尿病研究学会とNEJM誌で発表された。MACE(主要有害心血管イベント)の偽薬比ハザードレシオは0.91、95%信頼区間0.83~1.00となり、非劣性解析は成功したが優越性解析はフェールした。リスクは高まらないが有意に減るわけでもないという良くも悪くもない内容だ。

ノボ ノルディスクのGLP-1作用剤、Victoza(liraglutide)は有意に減らしたので物足りなさが残るが、Victozaのハザードレシオの95%信頼区間は0.78~0.97なので、かなり重なっている。全死亡ハザードレシオはVydureonが0.86(95%信頼区間0.77~0.97)、Victozaは0.85(同0.74~0.97)なので、これも大差ない。

それでも、ノボと異なり心血管リスクを削減する薬として販促することができないので、紙一重、二重の差が大きなインプリケーションを持つ。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

イクスタンジ、非転移性去勢抵抗性前立腺癌試験が成功
(2017年9月14日発表)

アステラス製薬とファイザーは、Xtandi(enzalutamide、和名イクスタンジ)のPROSPER試験が成功したと発表した。先般、治験プロトコルを変更したおかげで治験完了が2年早まった。メカニズムの異なる他の新薬との開発・販売競争が激化しているので、今までより早い段階で使えるようになれば販促の追い風になるだろう。

前立腺癌はアンドロゲン除去療法(ADT)が有効だが、治療を続けるうちにPSA値が再び上昇することがあり、タイミングを見て他の薬を追加したりスイッチしたりする。典型的には転移して症状が重くなった段階でdocetaxelのような化学療法薬にスイッチする。Xtandiは化学療法の次に使う薬として最初の承認を取り、その後、転移したり症状が出始めた後に化学療法より前に用いることが承認された。抗癌剤は出番が前の段階になればなるほど市場性(患者数x投与期間)が大きくなる。

今回のPROSPER試験は、転移も症状もない患者に追加投与する用法を偽薬と比較したもので、無転移生存期間の延長が達成されたとのこと。データは未発表。今後、承認申請に向かうことになりそうだ。

リンク: アステラスのプレスリリース(和文)

アッヴィのJAK阻害剤もリウマチ試験成功
(2017年9月11日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)は、ABT-494(upadacitinib)の第三相リウマチ性関節炎試験成功を発表した。バイオ薬に不耐又は反応不十分な患者を偽薬、15mg、30mgの各群に無作為化割付して12週間経口投与したところ、ACR20が各群28%、65%、56%となり、両用量とも偽薬群を有意に上回った。

深刻有害事象の発生率は各群ゼロ、5%、7%。死亡者は各群ゼロ、1人、1人となっており、15mgの症例は死因不明、30mg症例は肺塞栓や心不全などを発症していたとのことなので、試験薬との関係を疑う余地がありそうだ。症例数が各群160人強と少ないので、全第三相試験のプール分析結果が明らかになるまで何とも言えない。

ABT-494はJAK1阻害剤。ファイザーのXeljanz(tofacitinib citrate、和名ゼルヤンツ)はJAK1と3に選択的、インサイト/イーライリリーのJakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)はJAK1と2に選択的と、選択性が多少異なるが、副作用リスクはそんなに変わらないように感じられる。本来の作用である免疫抑制が強力なので感染症や癌のリスクも警戒しなけれなならず、その意味でも、安全性はプール分析のデータ発表待ちだ。

リンク: アッヴィのプレスリリース

黒色腫アジュバント試験のデータ発表
(2017年9月10日発表)

ステージIIIbからIVの黒色腫を完全切除した後に薬物療法で再発を防ぐ、アジュバント試験の結果が複数、発表された。まず、BMS/小野薬品の抗PD-1抗体、Opdivo(nivolumab、オプジーボ)をBMSの抗CTLA-4抗体、Yervoy(ipilimumab)と比較したCheckMate-238試験。中間解析で目的を達成したことが7月に発表済みだが、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)でデータが発表された。無再発生存期間のハザードレシオは0.65、97.56%信頼区間は0.51~0.83だった。

有害事象による治験離脱率はOpdivoが9.7%、Yervoyは42.6%と大きな差があった。治療関連死亡はOpdivoがゼロ、Yervoyは2人(被験者数は両群合わせて906人)。

リンク: BMSのプレスリリース(9/10付け)

次に、ノバルティスのBRAF阻害剤Tafinlar(dabrafenib、和名タフィンラー)とMEK1/2阻害剤、Mekinist(trametinib、和名メキニスト)の併用。BRAF-V600E/K変異を持つステージIII黒色腫の完全切除後アジュバント試験で、無再発生存期間の偽薬比ハザードレシオが0.47、95%信頼区間0.39~0.58となった。3年無再発生存率は58%で偽薬群の39%を上回った。

全生存の解析は、ハザードレシオ0.57、p=0.0006と良い数字が出たが、事前に設定された中間解析の閾値である0.000019を上回ったため、統計的に有意とは言えない。

有害事象による治験離脱は26%と偽薬群の3%をだいぶ上回った。

リンク: ノバルティスのプレスリリース(9/11付け)

最後に、ロシュのBRAF阻害剤Zelboraf(vemurafenib、和名ゼルボラフ)はフェールした。ノバルティスの試験との違いは、単剤投与であることと、ステージIIIだけでなくIICも対象であったこと。但し、後者が原因とは考え難い。事後的解析によると、IICからIIIBまでのサブグループの無病生存ハザードレシオは0.54、IIICは0.80となっており、進行した癌に対する効果が小さかった。

リンク: ロシュのプレスリリース(9/11付け)


【承認申請】


ザイティガを転移性前立腺癌に適応拡大申請
(2017年9月14日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンはZytiga(abiraterone acetate、和名ザイティガ)の適応拡大をFDAに申請した。6月にASCO米国臨床腫瘍学会で結果発表されたLATITUDE試験に基づくもので、高リスク転移性前立腺癌にアンドロゲン除去療法及びprednisoneと併用する。臨床試験ではアンドロゲン除去療法だけの群と比べた全生存ハザードレシオ0.62と有意に優れていた。

リンク: JNJのプレスリリース


【承認審査・委員会】


CHMPがPARP阻害剤などの承認を支持
(2017年9月15日発表)

EUの薬品審査機関EMAの医薬品科学的評価委員会であるCHMPは、9月の会議で、PARP阻害剤や抗IL-23抗体などの新薬承認などに肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月内にEU全域などで承認されることになる。一方、Opdivo(nivolumab)については、BMSが肝細胞腫適応拡大申請を撤回する意向を7月に連絡していたことが判明した。

リンク: EMAのプレスリリース

肯定的意見を得た新薬は、まず、Tesaro(Nasdaq:TSRO)のZejula(niraparib)。遺伝子の複製にはミスが付き物だが、通常は修復メカニズムが機能する。二種類のメカニズムの一つに係るポリ(ADP-リボーゼ)ポリメラーゼ(PARP)を阻害するのがZejulaで、PARPとDNAの複合体がDNAに損傷を与え、細胞死を誘導する。再発高悪性度卵巣癌で白金薬レジメンに部分反応以上した患者の維持療法として用いる。

PARP阻害剤は、もう一つの修復メカニズムが十分に機能しないBRCA1/2変異を持つ患者の乳癌や卵巣癌に有望と考えられてきたが、Zejulaの承認の根拠となった試験では、生殖細胞系BRCA変異の有無を問わず、進行・死亡リスクを大きく削減した。

Zejulaは米国で今年3月に承認。アストラゼネカなど三社のPARP阻害剤のうち、現時点では最も適応患者数が多い。乳癌の適応拡大試験も進行中。日本と韓国などの権利は武田薬品が7月に取得。

リンク: Tesaroのプレスリリース

Steba biotechのTookad(padeliporfin)は、前立腺癌のフォトダイナミック・フォーカル・セラピーに用いる光感受性物質。投与後にターゲット部位にレーザーを照射すると、活性酸素が血管閉塞などを誘導、数日内に焦点的壊死をもたらす。主な副作用は泌尿器や再生産系の障害。初治療、片側性、低リスク、余命10年以上などの条件を満たす患者が適応になる。前立腺癌は進行が遅く手術や放射線療法が必ずしも必要ではないケースが少なくない。低侵襲性の焦点治療手段が増えれば多くの患者にメリットがありそうだ。

Stebaはルクセンブルク籍のフランス企業である模様。Tookadはイスラエルのワイツマン科学研究所の技術を用いて創製、オックスフォード大学やメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターなどと臨床開発を進めた由。

リンク: Stebaのホームページ

ジョンソン・エンド・ジョンソンのTremfya(guselkumab)は抗IL-23p19サブユニットを標的とするHuCAL抗体。中重度乾癬症の全身的療法で、直接比較試験でPASI90やIGA改善率がHumira(adalimumab)を有意に上回った。米国では7月に承認、日本でも4月に承認申請された。

リンク: JNJのプレスリリース

グラクソ・スミスクラインのTrelegy Elliptaはコルチコステロイドのfluticasone furoate、長期作用性ムスカリン阻害剤umeclidinium、長期作用性ベータ2作用剤vilanterolを配合した吸入用薬で、COPDのステップアップセラピーに用いる。

リンク: GSKのプレスリリース

ムンディファーマはオピオイド関連の二剤が肯定的意見を得た。Nyxoidはnaloxoneの点鼻用新製剤。オピオイド過剰摂取の救急治療に用いる。もう一つはスエーデンのOrexo社からライセンスしたZubsolv(buprenorphine、naloxone)。オピオイド依存の治療に用いる舌下崩壊錠。乱用者は即効性を求めて注射で使う傾向があるが、Zubsolvを分解するとnaloxoneがオピオイドの作用を拮抗するため十分な効果が得られない。

リンク: Orexoのプレスリリース

スペインの血液製剤会社であるInstituto Grifols(MCE:GRF)のVeraSealはヒト・フィブリノーゲンとヒト・トロンビン。液状で、手術中の止血に用いる。

一方、否定的意見が出たのはSovrima(idebenone)の適応拡大。往年の脳循環改善薬アバンの活性成分で、欧州では例外的条項に基づいて15年にLHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)治療薬として承認された。他にも様々なミトコンドリア疾患に承認申請され、否定的意見を受けている。今回はデュシェンヌ型筋ジストロフィーで呼吸機能が低下し始めた、ステロイドを服用していない患者に承認申請されたが、CHMPは、効果が限定的でQOLも改善せず、治験の実施方法や解析方法にも懸念ありと判定した。

米国で承認申請するためにステロイド利用者を組入れた臨床試験が進行中なので、まだチャンスは残っている。

BMSはOpdivo(nivolumab)を肝細胞腫の二次治療に用いる適応拡大申請を行っていたが、7月に撤回する意向をCHMPに連絡していたことが明らかになった。根拠となった第二相試験は対照群がなく、外挿に必要な情報も不足しているため、CHMPは否定的な見方をしていた。尤もな意見で、特に意外感はない。

FDA諮問委員会がGSKの帯状疱疹ワクチンを支持
(2017年9月13日発表)

FDAのワクチン及び関連生物学的製品諮問委員会(VRBPAC)は、グラクソ・スミスクラインが承認申請した帯状疱疹ワクチン、Shingrixの承認を全員一致で支持した。既存の弱毒化生ワクチンと異なり、抗原はウイルスの糖タンパクEだけで、アジュバントはAS01-Bを用いている。50歳以上がヘルペス感染後神経痛などの発症を防ぐために、2~6ヶ月おいて2回、筋注する。臨床試験では免疫力が低下してワクチンが効き難い70歳以上でも高い予防効果を示した。

リンク: GSKのプレスリリース

【承認】


バイエルのPI3K阻害剤が米国で承認
(2017年9月14日発表)

バイエルは、FDAがAliqopa(copanlisib、開発コードBAY 80-6946)を濾胞性リンパ腫の三次治療薬として加速承認したと発表した。第二相単群試験では、ORR(客観的反応率)が59%、メジアン反応持続期間は12.2ヶ月、完全寛解率は14%だった。深刻有害事象が26%の患者で発生した。

ギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)のZydelig(idelalisib)と同じphosphatidylinositol-3-kinase(PI3K)阻害剤で、B細胞の活性化、増殖、生存に必要な酵素を阻害する。ZydeligがPI3Kデルタ選択的であるのに対して、Aliqopaはアルファとデルタをベータ比10倍優先的に阻害する。Zydeligは肺炎など深刻な感染症のリスクが見られるが、Aliqopaも同様なので要注意。

リンク: バイエルのプレスリリース

【医薬品の安全性】


Ocalivaのドクターレター
(2017年9月8日発表)

インターセプト・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:ICPT)は、PBC(原発性胆汁性肝硬変)の治療薬でNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬としても開発中のファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、Ocaliva(obeticholic acid)について、Dear Health Care Professionalレターを送付した。

16年の発売後に、中重度肝機能低下患者に過剰投与して肝不全が起きた致死例を含む症例が報告されていること、中重度肝機能低下患者にはレーベル通りに間歇投与すること、そして肝毒性の兆候が見られたら速やかに減量・中止することを伝えた。

Ocalivaは肝機能を問わず肝毒性があり、定期的に肝機能検査を行う必要がある。中重度肝機能低下患者では血漿濃度が著増するため、治療開始時は5mgを毎日ではなく週一回に抑え、増量する場合も10mg毎日ではなく10mg週二回までとなっている。重要な副作用なので医療従事者が無視して過剰投与したとは考え難い。PBCが悪化して肝機能が低下し、減量する前に副作用が発生してしまったのではないだろうか。肝臓治療用なのに肝臓副作用を持つ薬のジレンマだ。

DHCPレターにも記されているように、投与を止めても病気は直ぐには増悪しないが、肝副作用の兆候を軽視して続行すると深刻な転帰になりかねない。治療の便益とリスクを慎重に評価すべき薬なのだろう。

Ocalivaは欧米で2016年に承認。日本では大日本住友製薬が開発中。

リンク: Ocalivaの米国医療従事者向け情報サイト(ポップアップからDHCPレターをダウンロードできる)





今週は以上です。

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2017年9月10日

2017年9月10日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • ESMO:タグリッソ、一次治療試験でタルセバやイレッサに勝つ 
  • ESCO:Imfinziの肺癌維持療法試験成功 
  • オプジーボとヤーボイの腎細胞腫併用試験成功 
  • アッヴィのJAK1阻害剤はアトピーにも有効 
  • 血友病のRNA介入薬が治験許可停止に 
  • アッヴィ、子宮内膜症用薬を米国で承認申請 
  • 大日本住友、ADHD用薬を米国で承認申請 
  • キイトルーダ、EUで膀胱癌に適応拡大 
  • 抗PD-1/PD-L1抗体の多発骨髄腫試験が治験停止に 


【新薬開発】


ESMO:タグリッソ、一次治療試験でタルセバやイレッサに勝つ
(2017年9月8日発表)

ESMO(欧州臨床腫瘍学会)でアストラゼネカのTagrisso(osimertinib、和名タグリッソ)の直接比較試験の結果が発表された。EGFR活性化変異を持つ局所進行性転移性非小細胞性肺癌の一次治療におけるPFS(無進行生存期間)をTarceva(erlotinib)またはIressa(gefitinib)を用いる標準療法群と比較したところ、メジアンPFSが18.9ヶ月と標準療法群の10.2ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.46、統計的に有意な差があった。

全生存期間のハザードレシオは0.63、p=0.0068となったが、まだイベント数が少なく有意性を判定するための閾値が保守的に設定されているため、有意水準には達していない。忍容性面ではG3以上の有害事象の発生率は33.7%対44.8%、有害事象による治験離脱は13.3%対18.1%で何れも低かった。

EGFRチロシンキナーゼ阻害剤のうち、TagrissoはTarcevaやIressaに抵抗性を持つT790M変異型にも有効で、15年に米国で、16年には日欧でも、承認された。米国はEGFR阻害剤による治療歴があるT790M変異型だけが適応なので対象が狭い。一次治療試験の成功を受けて適応拡大申請が行われる見込み。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

ESCO:Imfinziの肺癌維持療法試験成功
(2017年9月8日発表)

アストラゼネカの抗PD-L1抗体、Imfinzi(durvalumab)の肺癌維持療法試験の結果がESMOやNew England Journal of Medicine誌で発表された。ステージIII切除不能非小細胞性肺癌で白金薬と放射線療法による一次治療を受けて癌が進行しなかった患者を、Imfinzi群と偽薬群に無作為化割付してPFSを比較したところ、中間解析でハザードレシオ0.52となり、統計的に有意な差が見られた。PD-L1発現の高低を問わず効果があった。

共同主評価項目である全生存の解析はまだ結果が出ていない。

抗PD-1/PD-L1抗体は様々な癌に有効で市場性が大きいため、BMS/小野薬品やMSDを追いかけて多くの製薬会社が臨床試験を進めている。先行会社と同じことをやっても差別化できないので、今回のように独自の用途用法を開拓することが重要だ。アストラゼネカは適応拡大申請に向けて審査機関と相談する考え。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース
リンク: Antoniaらの治験論文(NEJM誌)

オプジーボとヤーボイの腎細胞腫併用試験成功
(2017年9月7日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)とYervoy(ipilimumab、和名ヤーボイ)の末期腎細胞腫一次治療試験が成功したと発表した。夫々3mg/kgと1mg/kgを三週間に一回、合計4回投与して、その後はOpdivoだけを同じ用量で2週間に一回投与するレジメンと、ファイザーのSutent(sunitinib)を投与する群と反応率やPFS、全生存期間を比較したもの。主解析対象は全体の75%を占める中重度リスク因子を持つ患者。

主評価項目のうちORR(客観的奏効率)は41.6%対26.5%で有意に上回ったが、PFSに関してはハザードレシオが0.8と数値は良さそうだが解析の多重性を排除するために閾値が低く設定されていたことから、有意差は出なかった。今回は新たに全生存の解析で有意差が出たことが発表された。データはESMOでアップデートされる予定。

リンク: BMSのプレスリリース

アッヴィのJAK1阻害剤はアトピーにも有効
(2017年9月7日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)は、ABT-494(upadacitinib)の後期第二相中重度アトピー性皮膚炎試験が成功したことを発表した。局所性治療薬だけでは十分に管理できない患者を一群当り40名程度組入れて、7.5mg、15mg、30mg(一日一回経口投与)の症状改善効果を偽薬群と比較したところ、各群のEASIが39%、62%、74%減少し、偽薬群の23%減を有意に上回った。EASI75奏効率は29%、52%、69%となり、偽薬群の10%を上回った。

深刻有害事象は各群ゼロ、一人、二人となり、偽薬群の一人と大差なかった。症例数が少ないので先に第三相入りした関節リウマチなどのデータを見たほうがよいだろう。

リンク: アッヴィのプレスリリース

血友病のRNA介入薬が治験許可停止に
(2017年9月7日発表)

Alnylam Pharmaceuticals(Nasdaq:ALNY)と開発パートナーのサノフィは、FDAがALN-AT3/SAR439774(fitusiran)の治験許可を停止したと発表した。致死的血栓イベントが一例、発生したため。第三相試験入りしたところなので遅れは痛いが、副作用自体はありがちなものなので、数が増えない限り大きな問題にはならないのではないか。

fitusiranはRNA介入と呼ばれるタイプの核酸医薬で、肝臓選択的に抗トロンビンを抑制する。A型やB型の血友病の出血治療やルーチン予防薬として7月に第三相試験が始まったところ。月一回皮注という用法なので頻繁に出血する患者にルーチンに投与する用途に向いている。

治験許可停止(クリニカルホールド)は、第二相のオープンレーベル延長試験でインヒビターを持たない患者の一人が脳静脈洞血栓症を発症、死去したことが原因。血栓ができない患者をできる患者に変える薬なので血栓塞栓性有害事象が発生するのは止むを得ないところがある。

リンク: 両社のプレスリリース


【承認申請】


アッヴィ、子宮内膜症用薬を米国で承認申請
(2017年9月6日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)とライセンス元であるNeurocrine Biosciences(Nasdaq:NBIX)は、NBI-56418(elagolix)を子宮内膜症用薬として米国で承認申請した。経口ゴナドトロピン放出ホルモン阻害薬で、子宮内膜症による疼痛を改善する。

リンク: アッヴィのプレスリリース

大日本住友、ADHD用薬を米国で承認申請
(2017年9月1日発表)

大日本住友製薬は、米国子会社のサノビオンがdasotralineを成人と青少年のADHD治療薬としてFDAに承認申請したことを発表した。サノビオンの前身で09年に買収したSepracorがSEP-225289という開発コードでADHDや鬱病に開発していた、ドパミンとノルエピネフィリンの再取込を阻害する小分子薬。半減期が長いため一日一回投与で足りる。

リンク: 大日本住友のプレスリリース


【承認】


キイトルーダ、EUで膀胱癌に適応拡大
(2017年9月5日発表)

MSDはKeytruda(pembrolizumab)を末期尿路上皮癌に用いる適応拡大を承認したと発表した。白金薬歴を持つ患者の再発治療、またはcisplatin不適患者の一次治療に用いる。米国では5月に承認取得済み。

リンク: MSDのプレスリリース

【医薬品の安全性】


抗PD-1/PD-L1抗体の多発骨髄腫試験が治験停止に
(2017年9月6日発表)

BMSとアストラゼネカは、夫々、FDAが抗PD-1/PD-L1抗体の多発骨髄腫臨床試験の治験許可を停止したことを発表した。

9月3日号で書いたように、MSDのKeytruda(pembrolizumab)の183試験と185試験は、死亡に群間の偏りが発生したためフルクリニカルホールドとなった。FDAは、他社の抗PD-1/PD-L1抗体に関しても、多発骨髄腫に単剤またはpomalidomideやlenalidomideのような免疫調停剤と併用する用法や、他の血液癌に免疫調停剤と併用する用法は、リスクが便益を上回る可能性があると判断した模様だ。

BMSのOpdivo(nivolumab)は再発難治性多発骨髄腫四剤併用第三相試験など3本が部分停止となった。アストラゼネカのImfinzi(durvalumab)は多発骨髄腫新患の第二相がフルに、他の5本は部分的に、治験停止となった。

抗癌剤はオフレーベル使用が少なくなく、臨床試験も活発に行われているので、FDAのプロアクティブな対応は評価できるだろう。

リンク: BMSのプレスリリース(9/6付け)
リンク: アストラゼネカのプレスリリース(9/7付け)





今週は以上です。

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2017年9月3日

2017年9月3日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • ESC:抗IL-1ベータ抗体が心筋梗塞リスクを削減 
  • ESC:CETP試験の心血管アウトカム試験が遂に成功したが 
  • ESC:イグザレルト、安定期アテローム硬化試験は成功 
  • 家族性カイロミクロン血症候群のアンチセンス薬が承認申請 
  • 低血圧ショック治療薬が承認申請 
  • バイエル、PEG化第VIII因子を承認申請 
  • ファイザー、ボシュリフの一次治療を欧米で適応拡大申請 
  • ロシュ、Gazyvaの適応拡大を米国でも承認申請 
  • CAR-Tの第一号が米国で承認 
  • カルバペネム耐性菌にも有効な複合抗生剤が承認 
  • ファイザーのマイロターグが米国で復活 
  • アヴェオのVEGFR阻害剤がやっと欧州で承認 
  • FDA、キイトルーダの骨髄腫試験の詳細を公表 


【新薬開発】


ESC:抗IL-1ベータ抗体が心筋梗塞リスクを削減
(2017年8月27日発表)

ギャンブルには金持ちには勝てないという金言がある。千三つの新薬開発も、カネがあれば何でもできるとは言わないまでも、莫大な臨床試験予算を持つビッグファーマのほうが成功確率が高いのではないか。疑うものは、今年のESC欧州心臓学会を見ればよい。今回取り上げる三本の心血管アウトカム試験は、何れも、多くの患者を長期間フォローして治験の検出力を弓のようにギリギリ引き絞ったことが勝因で、NNT(一人を有害イベントから救うために治療すべき人数)自体は小さく、深刻な有害事象またはその懸念も見られた。

私の感想は、使うべきか、避けるべきか、それが問題だ。

それはそれとして、ノバルティスの抗IL-1ベータ抗体、Ilaris(canakinumab、和名イラリス)を高hsCRP心筋梗塞歴患者の再発予防に用いたCANTOS試験は大変な成果を上げた。炎症と免疫、血栓は互いに関係しているのでIlarisのような抗炎症免疫薬がアテローム硬化の進行緩和に有効であっても不思議はないが、キチッと立証されたのは今回が初めてだろう。

今後、抗IL-6抗体なども含めて様々な抗炎症薬スクリーニングが行われ、その中から、心筋梗塞予防効果が高く免疫抑制副作用が小さい、最もバランスが優れた薬が選抜されることになるのではないか。

また、今回の試験も、Ridkerらが主導したもう一つのランドマーク的試験、rosuvastatinのJUPITER試験も高hsCRP患者だけを組入れたが、低値患者には本当に無効なのか、hsCRPを用いて高リスク患者をスクリーニングする手法の特許を保有していない第三者に研究してもらいたいものだ。

本題に入ると、CANTOS試験は30日以上前に心筋梗塞を経験した、高感度CRP値が2mg/dL以上の患者10061人を偽薬、50mg、150mg、300mgの4群に無作為化割付して、メジアン3.7年間追跡した。用法は3ヶ月に一回、皮注。主評価項目は心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的卒中の複合評価項目。複数の群が設定されているため、多重性を補正するためにpの閾値は0.05より低くなっている。

尚、当初の計画では17200人を組入れるはずだったが開始後にノバルティスの要望を受けて組入れ規模を縮小した。17000人以上がスクリーニングを受けたが、セントラルラボの検査でhsCRP値が2mg/dLを下回ったり、結核菌感染歴などの理由で、4割がドロップした。実用性を考える上で重要な情報である。

当初の解析計画では、主評価項目イベント1400例、相対リスク削減20%という仮説に基づき、一つ以上の用量で有意差が出る検出力が90%だった。組入れは減ったが追跡期間1年延長の結果、イベント数が1400を超えたので、プロトコル変更後の検出力も90%程度と推測される。

各群の100人年当り主評価項目イベント発生率は4.50、4.11、3.86、3.90となった。150mgの偽薬比ハザードレシオ(HR)は0.85(95%信頼区間0.74-0.98)、p値は0.02075で閾値の0.02115をギリギリ下回った。300mgのHRは0.86(0.75-0.99)と150mgより多少劣る程度だったが、フェールした。効能は主として心筋梗塞の減少。心血管死は全用量とも、偽薬群より少なかったが有意ではなかった。全死亡も同様。

IlarisはIL-1やIL-6が関与する周期熱症候群やStill病、そしてある種の関節炎に承認されているが、免疫抑制作用を持つため、感染症や癌が懸念されるところである。CANTOS試験は長期試験なのでリスクを観察するには丁度良く、担当医の自発的報告ではなく密接な監視・診断が行われたものと推測する。この副作用分析で、驚くべき仮説が浮上した。三用量合計と偽薬群の比較で致死的な感染症・敗血症が有意に増えたが、癌は数値上少なく、癌による死亡は有意に少なかった(p=0.02)。特に肺癌が減った。

今回の試験だけでは何とも言えないが、300mg群の肺癌HRは0.33、p<0.0001、肺癌による死亡は0.23、p=0.0002と中々のものなので、改めて癌治療試験を行う価値があるかもしれない。

ノバルティスは心筋梗塞再発予防で適応拡大を申請する考え。09年に希少疾患用薬として発売した薬なので現状では年20万ドルと非常識な価格になってしまうが、承認されたら値下げするのではないか。CANTOSには日本の施設も参加した模様なので日本でも承認申請されるだろう。

ノバルティスは、先月、Xoma(Nasdaq:ZOMA)から抗IL-1ベータ・アロステリック抗体であるgevokizumabの権利をライセンスした。色々な治験がフェールし開発中止となった薬だが、潜在的なライバルの芽を摘んだのだろう。抗IL-1抗体は数多く臨床入りしたが、今現在生き残っているのはリジェネロン・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:REGN)のArcalyst(rilonacept)位だ。

リンク: Ridkerらの治験論文(NEJM誌)
リンク: ノバルティスのプレスリリース

ESC:CETP試験の心血管アウトカム試験が遂に成功したが
(2017年8月29日発表)

MSDは6月にCETP阻害剤MK-0859(anacetrapib)の心血管アウトカム試験成功を発表した。他社のCETP阻害剤は全てフェールしており、プレスリリースのトーンが抑制的で脂肪細胞蓄積リスクにも言及していたためESCでのデータ発表が注目されたが、案の定、治験が成功したのは検出力が高く効果が小さくても有意差が出たからだった。

CETP阻害剤はコレステロール・エステル転送蛋白がコレステロール・エステルをHDL-CからLDL-Cに移送するのを妨げる。善玉コレステロールと呼ばれる血清HDL-Cを大きく増やす効果がある。HDL-Cだけを増やす薬の心血管アウトカム試験は全滅と言っても良い状態だが、anacetrapibとイーライリリーのevacetrapibはファイザーのtorcetrapibや日本たばこ/ロシュのdalcetrapibと異なりLDL-C値を大きく減らす効果も持つ。

LDL-C値低下幅と心血管リスク削減率は相関するという法則があるので、HDL-C矯正が無効でもLDL-C低下で補えると考えていたが、見込み違いだったのは、LDL-C低下作用が当初考えられていたほどではなかったことだ。

LDL-C値の検査方法といえば数年前に直接法とFriedewald法の優劣が議論されたことがあるが、CETP阻害剤についてはどちらも不適で、ベータ定量法を使うべきであることがanacetrapibのDEFINE試験のサブスタディで判明。DEFINE試験では10~12mg/dL、今回のサブスタディによると15mg/dL程度、LDL-C値が過小評価(低下作用は過大評価)されたようだ。偽薬群との群間差が11mg/dL程度ならば、リスク削減率が10%弱に留まっても驚きではない。

このHPS3/TIMI55/REVEAL試験はMSDのコレステロール治療薬の心血管アウトカム試験であるHPSやHPS2を主導したオックスフォード大学の臨床試験ユニットが、米国の血栓学共同治験グループであるTIMIなどと実施したグローバル試験。安定期心筋梗塞、脳血管疾患、末梢動脈性疾患、または糖尿病を併発する慢性心疾患の患者30449人を偽薬群とanacetrapib(100mgを一日一回、経口投与)群に無作為化割付して、メジアン4.1ヶ月フォローした。

主評価項目は冠動脈死、非致死的心筋梗塞、冠血行再建術の複合評価項目。解析計画は、偽薬群のイベント発生率が年1.8%、ハザードレシオ0.85という仮説でpが0.01を下回る検出力88%というもので、元々オーバーパワーだったのだが、イベント発生率が想定を上回ったため、更にオーバーパワーになった。

結果は、偽薬群のイベント発生率が11.8%、試験薬群は10.8%、率比(レート・レシオ)は0.91(95%信頼区間0.85-0.97)、p=0.004で、有意な差があった。心筋梗塞と冠血行再建術が有意に減少。冠動脈死、心血管死、全死亡も偽薬群より少なかったが有意ではなかった。副次的評価項目である冠動脈死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合評価項目は率比0.93、p=0.052でフェールしたが、脳卒中が増えなかったことは一安心。

両群のカプランマイヤー・カーブは最初の2年間は殆どオーバーラップしていて乖離したのはその後。evacetrapibの試験のメジアンフォロー期間は26ヶ月なので、フェールしたのは組入れ数だけでなく追跡期間も足りなかったことになる。但し、カプランマイヤー・カーブの右側部分はノイズの影響を受けやすいので、「CETP阻害剤の心血管リスク削減効果は2年経ってから発揮される」と結論するには早いだろう。

この試験ではランイン期間中にatorvastatinによる治療を行ったため、ベースライン時点のLDL-C値は61mg/dLと低かった。偽薬群は64mg/dLに若干上昇、anacetrapib群は38mg/dLに低下し26mg/dLの群間差が生じたが、上述のように、ベータ定量法を用いたサブスタディでは11mg/dLしか差が無かった。HDL-C(ベースライン値40mg/dL)は治療後に43mg/dL、104%の群間差が生じた。非HDL-Cコレステロールは17mg/dL、18%の差に留まった。

anacetrapibは血液中からは除去されるが脂肪細胞に結合したら殆ど消失しない由だ。今のところ有害影響は観察されていないとはいえ、気持ち悪い。MSDは薬効や副作用リスクを検討したうえで承認申請の当否を決定する考え。

リンク: 共同治験グループの治験論文(NEJM誌)
リンク: MSDのプレスリリース

ESC:イグザレルト、安定期アテローム硬化試験は成功
(2017年8月27日発表)

経口Xa阻害剤は薬物動態の個人差や食事影響が小さく、血栓カスケードが亢進している時だけ作用するので、血栓性疾患予防効果と出血リスクのバランスが良いはず、と期待されたが、それほどでもなかった。尤も、用途は多岐に亘り、併用薬の組み合わせも元々多いところに新薬も出てきているため、探索の余地は大きい。

用途がオーバーラップするワーファリンは、心筋梗塞と心原性脳梗塞の両方を予防しなければならない患者にclopidogrelやアスピリンと三剤併用すると出血リスクが高まる。

バイエルがジョンソン・エンド・ジョンソンと開発販売提携しているXa阻害剤、Xarelto(rivaroxaban、和名イグザレルト)も、急性冠症候群にアスピリンと併用しclopidogrelの三剤併用も可とした再発予防試験が成功したが、効果は小さく深刻な出血リスクも見られたことから、米国では適応拡大が承認されず、EUは承認されたが心臓バイオマーカー上昇例に限定された。

ESCで結果発表されたCOMPASS試験は、安定期アテローム性血管疾患の患者約27000人をアスピリン(100mg)、アスピリンとXarelto(2.5mg一日二回)、Xareltoのみ(5mg一日二回)の三群に無作為化割付して、平均23ヶ月追跡した(中間解析で成功認定されたため短い)。アスピリンとclopidogrelのような抗血小板薬を併用するDAT療法を受けている患者は除外条件とされた。

結果は、主評価項目発生率が各群5.4%、4.1%、4.9%となり、二剤併用群はアスピリン単剤群より有意に低かった。ハザードレシオは0.76(95%信頼区間0.66-0.86)、p<0.001。心血管死はハザードレシオ0.78、p=0.02で、心筋梗塞や虚血性脳卒中は数は少なかったが有意ではなかった。大出血は各群1.9%、3.1%、2.8%でXarelto併用群も単剤群も有意に増加した。

この結果は、急性冠症候群試験とよく似ている。通常の虚血性疾患予防薬と異なり心筋梗塞を防ぐ効果が弱く、出血リスクが泣き所だが、なぜか、心血管死が減少した。イベント数は決して多くないので注意が必要だが、もし作用機序が検証できるならば、検証してもらいたいものだ。

急性冠症候群試験と比べると再発予防効果はやや大きく、出血リスクの増加は大差ない。従って、今回の適応のほうが承認の確率が高いのではないか。

リンク: Eikelboomらの治験論文(NEJM誌)
リンク: バイエルのプレスリリース


【承認申請】


家族性カイロミクロン血症候群のアンチセンス薬が承認申請
(2017年8月31日発表)

Akcea Therapeutics(Nasdaq:AKCA)は、AKCEA-APOCIII-LRx(volanesorsen)を家族性カイロミクロン血症候群の治療薬として米国で承認申請した。欧州でも7月に承認申請済み。

世界で3000~5000人が罹患する希少疾患で、リポ蛋白リパーゼの遺伝子欠損によりカイロミクロンを代謝できず、トリグリセライドが増加、膵炎のリスクが高まる。

AkceaはIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)のスピンアウトで、脂質異常による深刻な心臓代謝性疾患の治療薬に特化している。volanesorsenはIonisが創製した核酸医薬で、肝臓でトリグリセライドのクリアランスを調停するApoC-IIIの遺伝子をアンチセンスする。トリグリセライドが7割程度減る。注射薬なので注射箇所反応が発生することがあり、または、血小板減少リスクもある。

リンク: Akceaのプレスリリース

低血圧ショック治療薬が承認申請
(2017年8月28日発表)

La Jolla Pharmaceuticals(Nasdaq:LJPC)は、LJPC-501を米国で承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は来年2月28日。合成ヒト・アンジオテンシンIIで、標準療法に反応しない血管拡張性ショック患者の治療薬として連続点滴静注する。第三相試験では、70%の患者で3時間以内の昇圧に成功した。偽薬群は23%だった。死亡リスクが22%小さかったが検出力不足で有意水準には達しなかった。

リンク: La Jollaのプレスリリース

バイエル、PEG化第VIII因子を承認申請
(2017年8月31日発表)

A型血友病のうち出血リスクが高い患者は、第VIII因子をルーチン投与して予防する。この用法に適した、通常の製剤(週3~4回投与)より効果が持続する製品が次々発売されているが、バイエルもPEG化第VIII因子、BAY 94-9027を米国で承認申請した。第三相試験では週二回投与で開始して出血予防良好なら5~7日毎に切り替える手法を検討した。

リンク: バイエルのプレスリリース

ファイザー、ボシュリフの一次治療を欧米で適応拡大申請
(2017年8月29日発表)

ファイザーは、Bosulif(bosutinib、和名ボシュリフ)を慢性骨髄性白血病の一次治療に用いる適応拡大申請が欧米で受理されたと発表した。米国の審査期限は今年12月。src/abl阻害剤で、現在はGleevec(imatinib)など他のabl阻害剤を既に用いた患者の二次治療薬として承認されている。

Bosulifといえば、iPS細胞研究所の井上教授がALSに有効な可能性を指摘、改めて注目されている。

リンク: ファイザーのプレスリリース

ロシュ、Gazyvaの適応拡大を米国でも承認申請
(2017年8月28日発表)

ロシュは、Gazyva(obinutuzumab)をCD20陽性濾胞性リンパ腫の一次治療に用いる適応拡大申請を米国で行い、受理されたと発表した。優先審査で、審査期限は今年12月23日。

Rituxan(rituximab、和名リツキサン)と同様にCD20に結合する抗体医薬だが、翻訳後装飾でフコースが付与されないよう糖鎖が改変されており、ADCC活性が高い。現在は慢性リンパ性白血病や濾胞性リンパ腫の再発治療に承認されており、直接比較試験の多くでRituxanを上回る延命効果を示した。

今回の適応拡大申請はGALLIUM試験に基づくもの。化学療法と併用し、単剤による維持療法も行う群と、GazyvaではなくRituxanを用いる標準療法群のPFS(無進行生存期間)を比較したところ、ハザードレシオ0.68と有意に優れていた。

リンク: ロシュのプレスリリース


【承認】


CAR-Tの第一号が米国で承認
(2017年8月30日発表)

FDAは、ペンシルバニア大学発のCAR-T(キメラ抗原受容体発現T細胞)療法を承認した。ノバルティスが権利を取得し承認申請したKymriah(tisagenlecleucel)で、適応は、難治性または2回目以降の再発となった前駆B急性リンパ性白血病(ALL)の25歳以下の患者。承認の根拠となった第二相試験では、総合寛解率が83%だった。

FDAは初の遺伝子療法と呼んでいる。B細胞特異的に発現するCD19に結合する抗体の単鎖可変領域とTCRの共刺激伝達領域である4-1BB、そしてCD3ゼータ鎖をスペーサーで繋げた遺伝子を、レンチウイルスを用いて、患者から採取したT細胞に導入・培養したもので、患者の体内に戻すとT細胞が抗原提示不要でB細胞を攻撃する。

深刻な副作用は、サイトカイン放出症候群と神経学的イベント(脳症やせん妄など)が枠付き警告された。前者は中外のActemra(tocilizumab)が有効で、完全解消率69%となっている。今回、Actemraの適応拡大が承認されるとともに、REMS(リスク評価緩和戦略)の中で、Kymriahを使う医療施設はActemraも用意することが求められた。

治療後8週間は自動車運転など危険を伴う行為を行うべきではない。治療を受けた患者は二次性腫瘍や白血病再発を永遠にモニターする必要がある。

遺伝子導入・培養はニュージャージーの工場で行われる。上記治験には日本の施設も参加した模様なのでロジスティクス面は克服可能なのだろう。当面は米国でも治療を受けられる医療施設を段階的に増やしていく考えのようだ。今回の適応は米国で年600人と少ないが、年内にびまん性大細胞性巨大B細胞リンパ腫に適応拡大申請される予定。欧州でも年内申請予定となっている。

Kymriahの価格は47万5000ドル。反応率が高く、多くで効果が持続し、子供の癌は完治の可能性もあり、治癒的治療である骨髄移植は米国では80万ドルかかるのでフェアなプライシングと考えているようだ。公的医療制度を担うCMSとの間では、1ヶ月以内に応答した患者だけから費用を徴収するPay-for-Performanceディールが結ばれる模様。民間医療保険も倣うのではないか。前途のある若者、子供が何十万ドルの借金を背負って生きなくても良いように、工夫してもらいたいものだ。

ノバルティスはCAR-Tの開発でKite Pharma(Nasdaq:KITE)などとしのぎを削っているが、Kiteはギリアド・サイエンシズが119億ドルで買収することで合意した。抗PD-1/PD-L1抗体に続いてブームがヒートアップしている。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: ノバルティスのプレスリリース
リンク: ロシュのActemra適応拡大に関するプレスリリース

カルバペネム耐性菌にも有効な複合抗生剤が承認
(2017年8月29日発表)

FDAは、メディスンズ・カンパニー(Nasdaq:MDCO)のVabomereを複雑尿道感染症の治療薬として承認した。meropenemとvaborbactamの合剤で、カルバペネム耐性菌のように新種のベータラクタマーゼを分泌するグラム陰性菌にも有効。8時間毎に3時間点滴静注する。piperacillinとtazobactamの合剤(Zosyn)と比較した第三相試験では、臨床的治癒率が98.4%対94.0%と有意に上回った。深刻有害事象はアレルギー反応と癲癇。

2013年に達成報奨金も含めて5億ドル弱で買収したRempex Pharmaceuticalsの開発品。メディスンズは熱帯病優先審査バウチャーを取得した。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: メディスンズ社のプレスリリース

ファイザーのマイロターグが米国で復活
(2017年9月1日発表)

FDAは、ファイザーのMylotarg(gemtuzumab ozogamicin、和名マイロターグ)を承認した。抗CD33抗体と細胞毒性を持つカリケアマイシンのADC(抗体薬物複合体)で、2000年にCD33陽性急性骨髄性白血病の再発治療薬として加速承認されたが、市販後薬効確認試験が相次いでフェールしたため、FDAの要請に基づきメーカーが自発的に承認を返上した。当時は市販後薬効確認試験をネグる新興製薬会社が少なくなかったため、FDAも諮問委員も、ルール通りに厳しいスタンスを取ったのである。

ファイザーは日本を除く多くの国で販売を中止したが、医師主導で用量を減らしたり、一度ではなく数回に分けて投与することで致死的肝静脈閉塞症のリスクを緩和する手法が開発され、複数の臨床試験が成功した。今回の承認もこの用法用量に基づくもので、新患に化学療法併用、高度集中療法不適の新患に単剤投与、再発患者に単剤投与、の三種類のエビデンスがある。

欧州でも承認審査中。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: ファイザーのプレスリリース

アヴェオのVEGFR阻害剤がやっと欧州で承認
(2017年8月28日発表)

アヴェオ・オンコロジー(Nasdaq:AVEO)のFotivda(tivozanib)が欧州で末期腎細胞腫用薬として承認された。一次治療、またはサイトカイン薬による治療歴を持つがVEGFR阻害剤は未経験の患者の二次治療に用いる。第二相離脱試験に基づくもの。米国では承認されず、18年に第三相三次治療試験の結果が出てから再挑戦する予定。

tivozanibは10年前にキリンからアジア以外の権利を取得したもの。開発が進んだ段階でアステラス製薬が欧米のサブライセンスを取得したが、米国で承認されずアステラスが主導した結腸直腸癌試験などがフェールしたことから権利を返還。欧州では新たな提携先であるEUSA Pharmaが販売する。

リンク: アヴェオのプレスリリース


【医薬品の安全性】


FDA、キイトルーダの骨髄腫試験の詳細を公表
(2017年8月31日発表)

MSDの抗PD-1抗体、Keytruda(pembrolizumab)は非小細胞性肺癌など様々な癌に単剤、あるいは化学療法併用で承認されている。開発中の癌や併用法は数多いが、そのうち、多発骨髄腫のdexamethasone(以下、DEX)・免疫調停薬併用第三相試験二本で死亡リスクが観察され、今年6月にMSDが新規組入れ停止、7月にはFDAが投与中止を決定した。今回、FDAは、骨髄腫に承認されていないことも含めて、改めて警告するとともに解析結果を公表した。

一本は183試験で、三次治療としてセルジーンのPomalyst(pomalidomide)及びDEXと三剤併用したところ、死亡者が29人とPomalyst・DEX二剤併用群の21人を上回った。ORR(客観的反応率)は34%で二剤併用の40%を下回り、深刻有害事象発生率は63%対46%で上回った。

もう一本の185試験は自家造血幹細胞移植不適の新患にセルジーンのRevlimid(lenalidomide)とDEXを併用するRdレジメンと三剤併用したところ、死亡者数が19人とRdレジメン群の9人を上回った。ORRは64%対62%で大差なく、深刻有害事象は54%対39%で上回った。

抗PD-1/PD-L1抗体は天然の免疫回避メカニズムを阻害することによって免疫賦活するが、自己免疫性疾患のリスクが高まりこれまでの抗癌剤とは異なった副作用が出る。Revlimidなどの作用機序も免疫強化と考えられており、併用すると副作用ばかり増強されてしまうのかもしれない。

リンク: FDAのアラート



今週は以上です。

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2017年8月27日

2017年8月27日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • Darzalex、多発骨髄腫一次治療試験が成功 
  • GNEミオパチーのシアル酸補充療法試験はフェール 
  • 成人X染色体遺伝性低リン血症治療薬が米国でも承認申請 
  • 中外の血友病薬が米国でも承認申請 
  • Alkermes、抗うつ剤の承認申請に着手 
  • ビクトーザ、心血管リスク削減効果がレーベル記載 
  • アストラゼネカ、PARP阻害剤の適応拡大が承認 
  • パーキンソン病のジスキネジア治療薬が米国で初承認(?) 
  • 狂犬病用免疫グロブリンが米国で承認 
  • クラドリビンが遂に欧州で承認 
  • ノバルティスのCDK4/6阻害剤、欧州でも承認 
  • ソリリスがEUで重症筋無力症に適応拡大 


【新薬開発】


Darzalex、多発骨髄腫一次治療試験が成功
(2017年8月24日発表)

デンマークのジェンマブは、Darzalex(daratumumab)の第三相ALCYONE試験が成功したと発表した。適応拡大申請に向けてライセンシーのジョンソン・エンド・ジョンソンが承認審査機関と相談する見込み。

多発骨髄腫の細胞に過剰発現するCD38を標的とする抗体医薬で、15年にサルベージ用途、16年には二次治療三剤併用がFDAに承認されている。ALCYONE試験はASCT(自家幹細胞移植)不適新患多発骨髄腫の標準療法の一つであるVMP(Velcade、melphalan、prednisone)に更に併用する効果を検討したもの。

事前に計画されていた中間解析でPFS(無進行生存期間)のハザードレシオが0.50(95%信頼区間0.38-0.65)、p<0.0001となり、独立監視委員会が成功と認定、盲検解除を勧告した。尚、PFSのメジアン値は四剤併用群は未達、VMP群は18.1ヶ月と推定された。

多発骨髄腫は98年に米国でサリドマイドが承認されるまでは有効な薬が少なく、患者の余命を決めるのは承認されている薬の数だと言われていた。21世紀に入り、Velcade(bortezomib)やRevlimid(lenalidomide)など新薬が続々と登場。再発に備えて薬を取っておく必要性が低下し、一次治療から複数の薬を併用するレジメンが活発に探索されるようになった。三剤併用は既に標準療法なので、今後は四剤併用が焦点になりそうだ。

リンク: ジェンマブのプレスリリース

GNEミオパチーのシアル酸補充療法試験はフェール
(2017年8月22日発表)

米国カリフォルニア州の希少疾患用薬開発会社であるUltragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)は、Kepnetic(aceneuramic acid、開発コードUX001)の第三相GNEミオパチー治療試験がフェールし、開発を中止すると発表した。

第二相試験の結果は今一つで、EUは承認申請を受理したがCHMPが昨年11月に否定的意見を出し、申請撤回となった。それだけに、第三相試験が成功する期待も小さかったと言えるだろう。

GNEミオパチーはシアル酸の産生に必要なGNE遺伝子の欠損に起因する常染色体性劣性遺伝疾患で、DMRV(遠位型ミオパチー縁取り空胞型)やHIBM(遺伝性封入体ミオパチー)を包括する病名。患者数は世界で2000人、うち日本は400人と推定されている。

日本が研究を先導しており、シアル酸の一種であるaceneuramic acidの開発も、日本で行われたモデルマウスにシアル酸を補充する試験に立脚している。Ultragenyxがノーベルファーマから日本や東アジア以外の権利を取得して海外で臨床試験を行い、並行して日本でも東北大学などが臨床試験を行ったが、残念な結果になった。

リンク: Ultregenyxのプレスリリース

【承認申請】


成人X染色体遺伝性低リン血症治療薬が米国でも承認申請
(2017年8月24日発表)

協和発酵キリンとライセンシーであるUltragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)は、KRN23(burosumab)を米国で成人X染色体遺伝性低リン血症(XLH)の治療薬として承認申請したと発表した。EUでも1月に承認申請が受理されている。

FGF23(fibroblast growth factor 23)に結合する完全ヒト化抗体で、XLH患者で過剰産生され低リン血症を誘発するFGF23をブロックする。両社は13年に共同開発提携。米国でブレークスルーセラピー指定などを受けている。

リンク: Ultragenyxのプレスリリース

中外の血友病薬が米国でも承認申請
(2017年8月24日発表)

ロシュは、子会社である中外製薬が開発したACE910(emicizumab、ロシュの開発コードはRG6013やRO5534262)をインヒビターを持つA型血友病の成人小児の治療薬として米国で承認申請し、受理されたと発表した。審査期限は来年2月23日。日本では7月に、欧州でも8月に承認申請されている。

A型血友病は血液凝固第XIII因子の補充療法が有効だが、やがてインヒビター(抗体)ができて応答しなくなることが少なくない。活性型第VII因子(ノボのNovoseven)や血漿由来の活性化プロトロンビン複合体製剤(シャイアのFEIBA)などで治療するが、出血リスクが高く予防的ルーチン投与を必要とする患者には、作用が長く投与が簡便な薬の方が好ましい。

ACE910は第IX因子と第X因子に結合する二重特異性のヒト化抗体で、活性型第VIII因子に代わって第IX因子による第X因子の活性化を調停、血液凝固カスケードを進行させる。皮注用薬で、ルーチン予防の場合は週一回投与で足りる。第三相試験では既存薬と比べても見栄えのする出血予防効果を示した。

安全性面では、深刻出血時にFEIBAを追加投与した患者などでTMA(血栓性微小血管障害症)や血栓塞栓性疾患が発生、一名が死亡した。止血薬の宿命であり止むを得ないように感じられるが、FEIBAを含めて、併用禁忌或いは同時使用時の用量調整などを検討すべきだろう。

インヒビター患者は新薬のニーズが強いので承認のハードルはそれほど高くないだろうが、第VIII因子などとバッティングする分野で普及するためには安全性の吟味が必要なのではないか。

リンク: ロシュのプレスリリース

Alkermes、抗うつ剤の承認申請に着手
(2017年8月21日発表)

Alkermes(Nasdaq:ALKS)はALKS 5461のローリング承認申請を米国で開始したと発表した。承認申請に必要な三種類の書類を、完成したものから逐次提出して審査を受ける制度で、年内に完了する予定。

鬱病治療に用いる一日一回服用型経口剤で、非依存的ミュー・オピオイド受容体拮抗剤のALKS 33(samidorphan)と、ミュー・オピオイド受容体アゴニスト/カッパ・オピオイド受容体アンタゴニストのbuprenorphineの合剤。ミュー受容体に対する作用が相殺されカッパ受容体拮抗作用だけが残る計算になる。第三相試験の結果は完璧ではなかったが、抗鬱剤の開発を止める会社が増えている中、粘り強く開発を進めてほしいものだ。

リンク: Alkermesのプレスリリース


【承認】


ビクトーザ、心血管リスク削減効果がレーベル記載
(2017年8月25日発表)

ノボ ノルディスクは、Victoza(liraglutide、和名ビクトーザ)の米国のレーベルに心血管疾患リスクを削減する効能が記載されたことを発表した。二型糖尿病の血糖治療薬ではSGLT2阻害剤のInvokana(canagliflozin)やJardiance(empagliflozin)に次ぐ三番目。米国の医学者のオピニオンリーダーや当局の要請に応えてメーカーがきちんとした臨床試験を行ったことが大きな収穫を生んだ。

血糖治療薬はいずれも一長一短だが、心血管リスクを削減するエビデンスのない薬や、癌や骨折のリスクを高める疑いのある薬の処方を正当化するのは容易でなくなるだろう。

Victozaは一日一回皮注型GLP-1作用剤。胃腸ホルモンのGLP-1を改変して作用を長期化したもので、血糖値上昇時にインスリン分泌を刺激し、グルカゴンの分泌抑制や胃から腸への食物移動を促し、食欲を抑制する。

今回の承認は、二型糖尿病でHbA1cが7%以上、年齢50歳以上の心血管リスクが高い患者を組入れたLEADER試験に基づくもの。Victoza群はそれ以外の薬を使った群と比べてMACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクが13%小さく、主評価項目である非劣性解析が成功した。副次的に実施された優越性解析も成功。有害事象では、膵炎や悪性新生物は特に増えはしなかった。但し、膵臓腫瘍は0.3%(13人)と対照群の0.1%(5人)より数値上、多かった。

リンク: ノボのプレスリリース

アストラゼネカ、PARP阻害剤の適応拡大が承認
(2017年8月17日発表)

アストラゼネカと共同開発パートナーのMSDは、FDAがLynparza(olaparib)の適応拡大などを承認したと発表した。

PARP阻害剤で14年に欧州でBRCA変異型卵巣癌の化学療法奏功後維持療法として承認されたが、米国では諮問委員会も反対が大きく上回り、結局、当初の適応とは異なるBRCA変異型卵巣癌の四次治療薬として承認された経緯がある。アストラゼネカは第三相試験成功を待って改めて維持療法を申請し、今回、承認取得した。BRCA変異を持たない患者に使うことも認められており、Clovis社のRubraca(rucaparib)と肩を並べた。

このほかに、従来のカプセル製剤(50mg、8カプセルを一日二回服用)に加えて錠剤(150mg、二錠を一日回服用)も承認された。また、類似した用途で延命効果に準じる効能が確認されたため、生殖細胞性BRCA変異を持つ患者の四次治療という最初の承認が加速承認から本承認に切り替わった。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

パーキンソン病のジスキネジア治療薬が米国で初承認(?)
(2017年8月24日発表)

米国カリフォルニア州の新興製薬会社、Adamas Pharmaceuticals(Nasdaq:ADMS)は、Gocovri(amantadine徐放製剤)がFDAに承認されたと発表した。レボドパを服用しているパーキンソン病患者のジスキネジア(不随意運動)を治療する薬がFDAに承認されたのは初めてとのこと。

amantadineはオフレーベルで広く用いられているので新鮮味はない。それでも、今日のスタンダードに即したキチッとした臨床試験で効能や安全性を確認したことは価値があるだろう。但し、物事には釣り合いというものがあるので価格には細心の注意が必要だ。一部の新興会社のような理不尽なプライシングをすると何時まで経っても即放製剤のGE薬のシェアを奪えないだろう。

リンク: Adamasのプレスリリース

狂犬病用免疫グロブリンが米国で承認
(2017年8月25日発表)

イスラエルのKamada Ltd(Nasdaq:KMDA)とイタリアのKedrion Biopharmaは、FDAがKedrabを狂犬病の曝露後予防用途で承認したと発表した。狂犬病の恐れのある動物と接触した直後に、狂犬病ワクチンとともに、投与する。

Kedrabはヒト血漿由来の免疫グロブリンで、06年の発売以来、欧州などで140万バイアルの販売実績がある。類似製品が既に存在するが供給が安定的ではない模様。米国販売を担当するKedrion社は、年1億ドルの市場で大きなシェアを取る考え。

リンク: 両社のプレスリリース

クラドリビンが遂に欧州で承認
(2017年8月25日発表)

プリン・アナログのcladribineはジョンソン・エンド・ジョンソンが93年に米国で有毛細胞性白血病用薬Leustatinとして承認を取得した。研究者主導試験で多発性硬化症に効果を示したためIvax社が経口剤を開発、セラノがインライセンスして臨床開発した。Ivaxは06年にテバに買収され、セラノも同年にドイツのメルクに買収されたがプロジェクトは生き残り、09年に欧米で承認申請された。

その後の足取りは重かったが、足掛け8年、やっと欧州で承認された。ブランド名はMavenclad。リンパ球減少症や悪性良性新生物など、重篤な副作用の懸念があるため、適応は再発性多発硬化症のうち高度活性型に限定された。第三相のCLARITY試験の事後的解析で、再発頻度が偽薬比67%少なく、EDSSスコアの進行リスクが82%小さかった。

9月に独英二国からロールアウトを開始する予定。米国などでも承認申請する考え。

リンク: メルクのプレスリリース

ノバルティスのCDK4/6阻害剤、欧州でも承認
(2017年8月24日発表)

ノバルティスは、Kisqali(ribociclib)がEUに承認されたと発表した。細胞周期進行に係るCDK4やCDK6を阻害する経口剤で、ホルモン受容体陽性、her2陰性の閉経後転移性乳癌の一次治療としてアロマターゼ阻害剤(同社のFemaraなど)と併用する。

Kisqaliは大塚製薬が13年に買収したAstex Pharmaceuticalsと行った細胞周期コントロールに関する共同研究の成果。米国では3月に承認され、Femaraを同梱した製品がKisqaliと同じ価格で上市された。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ソリリスがEUで重症筋無力症に適応拡大
(2017年8月21日発表)

アレクシオン・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:ALXN)は、Soliris(eculizumab、和名ソリリス)の適応拡大がEUで承認されたと発表した。難治性の全身性重症筋無力症のうち、アセチルコリン受容体(AChR)に対する抗体を持つ患者が適応になる。

抗AChR抗体は神経筋接合部のAChRに結合して補体系を活性化、神経筋接合部を破壊する。SolirisはC5に結合して補体カスケードの進行をブロックする抗体医薬。これまでに、PNH(発作性夜間血色素尿症)やHUS(非定型溶血性尿毒症症候群)の治療薬として承認されている。

重症筋無力症といえば、抗PD-1抗体の稀だが重篤な副作用の一つで、日本の研究によると、オプジーボの1万人弱の投与症例のうち12人が発症、うち6人が深刻で2人は死亡した。通常の重症筋無力症と比べて筋細胞の炎症が更新している由だが、ソラリスは使えないのだろうか?

リンク: アレクシオン社のプレスリリース




今週は以上です。

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2017年8月20日

2017年8月20日


【ニュース・ヘッドライン】

  • ノボ、GLP-1作用剤の直接比較試験で好成績 
  • BMS、オプジーボ併用試験は微妙な結果に 
  • リジェネロン、RSV予防薬の開発を中止 
  • ファイザーの前駆B白血病用薬が米国で承認 


【新薬開発】


ノボ、GLP-1作用剤の直接比較試験で好成績
(2017年8月16日発表)

ノボ ノルディスクは、日米欧で二型糖尿病治療薬として承認申請中のNN9535(semaglutide)の直接比較試験が成功したと発表した。同じ週一回皮注型長期作用性GLP-1作用剤であるイーライリリーのTrulicity(dulaglutide)と比べて、血糖治療効果でも体重削減効果でも有意に優れていた。

このSUSTAIN 7試験は後期第三相試験という位置づけで、承認申請ではなく承認取得後の販促支援を意図して実施したもの。二型糖尿病患者約1200人を4群に割付けて、低用量同士(NN9535の0.5mgとTrulicityの0.75mg)そして高用量同士(各1mgと1.5mg)のHbA1c治療効果を40週間に亘って比較した。ベースライン値はHbA1cが8.2%、体重は95kg、BMIは33.5kg/m2。体重を見ても分かるように、グローバル試験で米国だけでなく欧州やアジアの施設も参加した。

結果は、低用量二群はHbA1cが各1.5%と1.1%低下し、NN9535の効果が有意に上回った。高用量も各1.8%と1.4%低下で有意に上回った。同様に、体重低下は低用量が4.6kg対2.3kg、高用量は6.5kg対3kgとなり、どちらも有意に上回った。

GLP-1作用剤の代表的な副作用である悪心嘔吐は用量相関するので効果の高い薬は悪心嘔吐が増えないか心配になるが、この試験では両剤とも大差なかったようだ。NN9535は心血管アウトカム試験でポストホック分析とはいえ主要有害心血管イベントが偽薬比有意に少なく注目されたが、一方で、網膜症性合併症が増加した。今回の試験では両剤とも大差なかった(4例対5例)。

心血管アウトカム試験が好成績であったことだけでも他のGLP-1作用剤と十分に差別化できるが、直接比較試験の裏付けができたことで販促が更にやりやすくなった。

リンク: ノボのプレスリリース

BMS、オプジーボ併用試験は微妙な結果に
(2017年8月15日発表)

BMSはOpdivo(nivolumab、和名オプジーボ)とYervoy(ipilimumab、和名ヤーボイ)の併用療法を様々な癌でテストしているが、腎細胞腫一次治療の第三相、CheckMate-214試験は微妙な結果になった。

試験薬群はOpdivoは3mg/kg、Yervoyは1mg/kgを三週間毎に4回投与し、その後はOpdivoだけを二週間毎。標準療法群はファイザーのSutent(sunitinib)を承認されている用量・スケジュールで投与した。薬効解析対象は被験者の75%を占める中重度リスク患者。主評価項目は三つあり、まず、ORR(客観的反応率)は各群41.6%と26.5%となり、有意に上回った。メジアン反応持続期間は併用群は未達、標準療法群は18.1ヶ月だった。

次に、PFS(無進行生存期間)はメジアン11.56ヶ月と8.38ヶ月、ハザードレシオ0.82、95%信頼区間0.64~1.05で有意差はなかった。第三の主評価項目である全生存の解析はまだ機が熟していない。

FDAは一次治療薬の承認に際してORRだけでなく延命又はそれに準じる効果のエビデンスを求めることが多い。癌が一時的に縮小しても、抵抗性変異を経て、より速いペースで成長するようになる現象が見られることや、副作用で死亡するリスクを正当化するためにはそれ以上の生存率改善効果が必要だからだ。従って、全生存の解析が成功するまで承認されないというのが標準シナリオだろう。

但し、今回の試験には斟酌の余地がある。まず、実薬対照試験であること。広く用いられているSutentと遜色ないなら悪くない。第二に、BMSのプレスリリースによると、この試験のアルファの大半は全生存の解析に配布されている。具体的な数値はわからないが、PFS解析のハードルが通常の試験より高いことになる。フェールしたのは主評価項目を三つも設定した欲張りな治験デザインのせいかもしれないのだ。

とはいえ、薬効の挙証責任はBMSにある。高価な新薬の併用なのだからそれに見合ったエビデンスを提供すべきである。抗PD-1抗体もYervoyもはこれまでの化学療法薬と異なった、特有の副作用を持ち、命に係ることもある。併用すればリスクも高まるだろう。これらのことから、延命効果の検討は慎重かつ徹底的であるべきだ。

リンク: BMSのプレスリリース

リジェネロン、RSV予防薬の開発を中止
(2017年8月14日発表)

リジェネロン・ファーマスーティカルズ(REGN)は、REGN2222(suptavumab)の開発を中止する考えであることを明らかにした。36週前に生まれた健康な早産児1149人を組入れてRSV感染による入院や治療を予防する効果を検討する第三相試験を実施したが、フェールした。

REGN2222はRSV(respiratory syncytial virus)のF蛋白に対する抗体医薬。同種の薬であるアストラゼネカの子会社のメディミューンのSynagis(palivizumab、日本では大日本住友が販売するシナジス)が米国で承認されたのは19年前。メディミューンは力価の高いNumax(motavizumab)を開発したが過敏反応リスクがボトルネックでFDAに承認されず、2010年に開発中止となった。

リジェネロンは第二相をスキップして第三相にチャレンジしたが、果たせなかった。

リンク: リジェネロンのプレスリリース(pdfファイル)

【承認】


ファイザーの前駆B白血病用薬が米国で承認
(2017年8月17日発表)

FDAはファイザーのBesponsa(inotuzumab ozogamicin)を再発性難治性前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病用薬として承認した。ファイザーが09年に買収したワイスが、UCBが04年に子会社化したセルテックと共同開発したADC(抗体薬物複合体)で、抗体部分が前駆B細胞のCD22に結合し内部に侵入、calicheamicin部分がリリースされ癌細胞を攻撃する。

第三相試験では、CR(完全寛解率)が35.8%と化学療法を施行した対照群の17.4%を有意に上回った。CR持続期間の中央値は各8.0ヶ月と4.9ヶ月だった。全生存期間のメジアン値は7.7ヶ月で化学療法群の6.2ヶ月を上回ったが差は小さく有意ではなかった。

主な有害事象は骨髄抑制やQT延長など。枠付き警告は静脈閉塞疾患(14%で発生)などの肝毒性と、造血幹細胞移植(HSCT)後に再発以外の理由で死亡するリスク。上記試験では48%(79人)の患者がHSCTに進んだが、うち31人は無再発のまま死亡した。化学療法群は22%(35人)と8人なので、治癒的治療方法であるHSCTを施行できる患者が増えるので良い薬とは言い切れないところがある。

EUは6月に承認。日本は今年5月に承認申請された。

リンク: FDAのリリース
リンク: ファイザーのプレスリリース






今週は以上です。

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2017年8月13日

2017年8月13日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • 抗CTGF抗体が特発性肺線維症に効果 
  • ゼルボラフをエルドハイム・チェスター病に適応拡大申請 
  • スチバーガ、EUでも肝細胞腫に適応拡大 


【新薬開発】


抗CTGF抗体が特発性肺線維症に効果
(2017年8月7日発表)

米国サンフランシスコのFibroGen(Nasdaq:FGEN)は、FG-019(pamrevlumab)の第二相特発性肺線維症(IPF)試験が成功したと発表した。第三相試験に向けて当局と相談する考え。提携交渉もアジェンダに上がっている様子だ。

FG-019は、組織のリモデリングや線維化に関与するCTGF(connective tissue growth factor)を標的とする抗体。今回の二重盲検偽薬対照試験は103人を組入れて48週間治療したところ、偽薬群のFVC %予測値が7.17%低下したのに対して試験薬群は4.33%の低下に留まり、治療効果は4.33%だった。FVCは各群129mLと308mL低下したので、治療効果は180mL程度ということになる。

IPF治療薬として承認されているロシュのEsbriet(pirfenidone、日本では塩野義のピレスパ)の試験ではFVC治療効果が150~235mL、ベーリンガー・インゲルハイムのOfev(nintedanib)は94~131mLだったので、見劣りしない。この試験は安全性サブスタディとしてEsbrietやOfevを服用している患者を57人組み入れており、もしアドオンでも単剤投与と同程度の進行抑制作用上乗せ効果があるようならば、効用が高まる。

リンク: FibroGenのプレスリリース


【承認申請】


ゼルボラフをエルドハイム・チェスター病に適応拡大申請
(2017年8月7日発表)

ロシュ・グループのジェネンテックは、Zelboraf(vemurafenib、和名ゼルボラフ錠)をBRAF V600E変異陽性のエルドハイム・チェスター病に用いる適応拡大申請を米国で行い、受理されたと発表した。優先審査で審査期限は12月7日。

エルドハイム・チェスター病は白血球の一種である組織球が異常増殖する希少疾患で、1930年以来、世界で500例が文献報告されている。5割程度の患者がBRAF V600E変異を持っている由だ。

ZelborafはBRAF阻害剤。2011年にBRAF V600E変異陽性悪性黒色腫用薬として米国で承認された。今回の適応拡大申請は、BRAF V600変異を持つ様々な癌に対する効果を検討したVE-BASKET試験に基づくとのこと。検索してもヒットしないが、おそらく、New England Journal of Medicine誌に治験論文が掲載された、NCT01524978試験のことだろう。

リンク: ジェネンテックのプレスリリース
リンク: Hymanらの治験論文(New England Journal of Medicine、2015年)

【承認】


スチバーガ、EUでも肝細胞腫に適応拡大
(2017年8月7日発表)

バイエルは、Stivarga(regorafenib、和名スチバーガ)を肝細胞腫に用いる適応拡大がEUで承認されたと発表した。切除不能で同社のNexavar(sorafenib)に反応しなくなった患者の二次治療に用いるもので、米国では今年4月に、日本でも6月に、承認されている。

NexavarはVEGF受容体阻害剤でBRAFやCRAFも阻害する。Stivargaはsorafenibの一部を置換したもの。VEGFR阻害剤は数多いが肝細胞腫に効果を示したものは少ない。

リンク: バイエルのプレスリリース





今週は以上です。

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